石崎ひゅーい

邂逅 – 石崎ひゅーい

古い小さな商店街
ポケットに手を入れて
帰り支度の人波と
逆へ歩いて行く
流行の新しい店を
横目に通り過ぎて
隣の古本屋にいる
友達に手を振る

橋の手前呼び止める
声が聞こえた気がした
でも立ち止まらなかった
もうその手には乗らないさ

こんな遠い場所にまで来たけれど
どんな道も自分で選んで来た
想像さえもしなかった場所だけど
ここは確かに僕の見たかった景色だ

近くにいるのに心が
遠い人もいるし
離れていても心が
近い人もいる
友達だろっていつも
言う奴に限って
本当は友達じゃないと
ようやく学んだ

橋の上でパーカーの
脱いだフードに風が巻く
未来に不安になるより
今日を楽しんで笑うんだ

こんな遠い場所にまで来たけれど
どんな道も自分で選んで来た
想像さえもしなかった場所だけど
ここは確かに僕の見たかった景色だ

そしてまるで偶然のように
僕はまたここで君に出会うんだ
出会うんだ

帰宅ラッシュの長い列がいつかの
怪獣たちのパレードのようだ
想像さえもしなかった場所だけど
ここは確かに僕の見たかった景色だ

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