渡部陽一

明日の方角 – 渡部陽一

これは役に立つ本だ と君は言う
たった1ドル 買わなきゃ損だ
自分じゃ読めない古雑誌を売りつける君の
こすりつけてくるからだの匂いと
泥のつまった指の爪

妹が家で死にそうなんだ と君は言う
いちにち分の家族の食いぶちのために
くいさがる君のしつこさは
物心ついたときから
とっくに腹をくくっている証拠

想像力は持っているだけ 苦しいのか
やぶれる夢は見ないことにしてるのか
それとも 生きててうれしいと
ときどきは思うのか 君も
妹のほほえみに つい笑い返したりするのか

そのくせ ときおり見せる
無防備な ぎょうてん顔
乾いた砂を巻き上げる風が
やけて分厚くなった頬に
粉を吹かせて

友だちもみんな似たようなものだから
貧しさをすねることもない
誰かのせいにすることもない

生きのびるためのたった今を
むさぼるように積みながら
君は下っ腹でくそ意地を練り上げる

それがいつか
君の国のやまない疼きをはねかえす
したたかなばねにかわるといい
希望は 絶望にとてもよく似た姿をして
明日の方角から
もう歩き出しているかもしれないから

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