渡部陽一

このたたかいが終わったら – 渡部陽一

このたたかいが終わったら
友だちをさそって弁当を持って
町でいちばん高い山にのぼろう
はればれと見下ろす
生まれたばかりの町の
とどろく産声を聞こう
おしまいまでやりとげた充実で
胸をいっぱいにしよう

このたたかいが終わったら
力強く誇ろう
まだだれも見ぬ地平線を描くという
難しいほうの道を選んだこと
失ったものより残されたものに
こころをそそぐと決めたこと
あえぎながら歩いても
小さな花を見のがさず
ありがとうと声をかけたこと

このたたかいが終わったら
大きな声でうたおう
消えいる心を支えてくれた歌
そして それよりもっと大きな声で
これでもかと泣こう
胸をしばっていたかなしみを空に放して
新しい日々を抱きとめよう
遠い国でまだ続く
いくつものたたかいから目をそらさずに

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