榊原秀子

  • 越後母情 – 榊原秀子

    雪の…雪の故郷 吹雪に暮れりゃ人も通わぬ 峠道越後寒かろ 寒かろ母よ抱いてあげたい 丸めた背中(せな)を飛んでゆきたや エェー 遠い空 ハァー夢で 夢でも 逢いたや母ヨー 上り…上り列車の 汽笛に消えた母の呼ぶ声 里の駅越後遙かや 遙かや越後盆にゃ帰ると 帰れぬままにおけさ流しの エェー 夏がゆく 夜なべ…夜なべ藁(わら)打つ あかぎれ指の痛さ偲(しの)べば また涙越後恋しや 恋しや母よ命削(けず…

  • さんさ恋しぐれ – 榊原秀子

    胸にうずめた 黒髪さえも泣いて乱れた 萩の宿さんさふれふれ 人恋しぐれ奥の細道 面影つれて越える松島 瑞巌寺(ずいがんじ) 北の深山(みやま)の 千年杉に誰を呼ぶのか 不如帰(ほととぎす)さんさ切なや 焦(こ)がれる身には沈むこころに 風さえ淋し暮れて朧(おぼろ)の 夕霞(ゆうがすみ) ふたりいたから ひとりが寒い逢瀬(おうせ)かなわぬ 夜半(よわ)の秋さんささんさと みちのくしぐれつのる思いを …

  • 居酒屋津軽 – 榊原秀子

    あの日のままです この酒場(みせ)は壁にねぶた絵 ひばりの色紙雪やこんこん 今夜もひとり今も暖簾(のれん)を たためぬままにあなた待ってる 居酒屋津軽 両手を炭火に かざしても胸の芯まで 凍(こご)える夜更け雪はしんしん 未練がつのるここが止まり木 あなたの居場所きっと帰って 居酒屋津軽 あなたに逢えない 冬いくつ北のこみせに 灯りがともる雪やこんこん 今夜は吹雪よされよされと ないてる三味線(し…

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