大川信之
山で暮らせば – 大川信之
青葉若葉は振袖模様
咲いたつつじは紅の帯
もゆる色香をそのままに
あゝ山はなつかし何時も 乙女のはれ姿
山で暮らせば唄どり小どり
朝は早起ほろほろと
嬉し口笛朗らかに
あゝ今日も遥かに祈る 感謝の一しづく
土の手で読む短い便り
主の銃にも光るやら
洗ふ利剣の一つ星
あゝ渡る雁(かりがね) 心戦地へ飛んで行く
青葉若葉は振袖模様
咲いたつつじは紅の帯
もゆる色香をそのままに
あゝ山はなつかし何時も 乙女のはれ姿
山で暮らせば唄どり小どり
朝は早起ほろほろと
嬉し口笛朗らかに
あゝ今日も遥かに祈る 感謝の一しづく
土の手で読む短い便り
主の銃にも光るやら
洗ふ利剣の一つ星
あゝ渡る雁(かりがね) 心戦地へ飛んで行く
日暮れひととき旅人の雪がとんでる街の角ほのぼのいとし窓明かり白い小みちにしみている小雪ちらちら愛の窓揺籠ゆれてる笑っているせめて幼い想い出を白い小みちにかいてゆ
やくざ渡世は男の中の強い男と結んだわらじ何故に今宵は流れる月の真菰がくれに泣いてやらたった一夜のおしどり旅の捨てた恋ゆえ口には言えずびんのほつれもせつなくかんだ
春の息吹のひたひたと海面によするささやきをほのかに知りておどる胸聞け青春の希望の歌を劇団我等の海燕狂う怒涛のその中を敢然こえてこの日までよくこそ耐えし若人よいま
今日も暮れるか国境霧が流れるクラスキーあたりぬれてわびしいかり寝の窓で遥か祖国を呼ぶは誰港ポセットうすあかり雲にかくれて泣いてる月が行くよ招くよあの古里に風も淋
矢彈(やだま)雨降る戦線も何時かひっそり日暮時ふと見た銃の傍に咲いてる赤い名無草何日(いつ)見たきりか愛らしい花の姿にうっとりとみつめりゃ戦友(とも)も手を横に
窓に凭れて若き日の寂しくぬれて今日もゆく乙女の夢のはかなさに涙の花が散りました窓にもたれて遠い日のぬれてきえゆく日暮時胸の小鳩がほろほろと泣けばともるよ紅い灯が
今日も越え行く山亦山を黒馬(あお)よ辛かろ切なかろがまんだ待ってろあの嶺越えりゃ甘い清水を汲んでやる今日もわけゆく道なき道を憎くや異国の名無草歩みや今度も又足と