増田俊樹

ブリキの花 – 増田俊樹

今更かき集めた
散らばった記憶と
くくり付けたまんまで
ホコリだらけの夢

日が射した教室の
隅で描いた
誰も知らない景色
眩しすぎる朝を

細すぎる三日月
路地裏の野良猫
迎えに行こうよ
ほら

ああ どうしたって消えなくて
ずっと前のことだって
何度だって遮って
まだ目の前にあった

目を瞑れば瞑るほど明るくて
忘れられないだけと
また呟いてみた

ああ 確かめたことだって
明日には無くなって
信じられるものって
自分しかいないよ

どれだけ遠回りしてもあの場所へ
手を伸ばした
また手を伸ばした

その先は見えなかった
真っ白な世界
そこで途切れる僕の
消えかけた足跡

描ききれないままで
閉じてしまっていた
誰も知らない場所で
静かに咲いたまま

隙間から覗いてた
横たわる未来を
迎えに行こうよ
ほら

ああ どうでもいいやなんて
そんなはずはなくって
全部の先頭に立って
今ここにいるんだ

迷いと後悔を朝焼けが照らす
この同じ掌で
もう一度触れたい

曖昧な正しさで
変わりゆく街で
信じられるものって
自分しかいないよ

曲がりくねる道の果てで笑い合おう
いつまででも
側にいる夢と

ブリキの花がまた
頬をかすめていく
思い出せずにいた言葉

針の止まった時計
静かに朽ちてゆく
錆びた鉄の匂い ここは
記憶の中

ああ どうしたって消えなくて
ずっと前のことだって
何度だって遮って
まだ目の前にあった

目を瞑れば瞑るほど明るくて
忘れられないだけと
また呟いてみた

ああ 確かめたことだって
明日には無くなって
信じられるものって
自分しかいないよ

どれだけ遠回りしてもあの場所へ
手を伸ばした
また手を伸ばした

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