塩乃華織

  • 白夜行 – 塩乃華織

    風にまかれ折れた花をまだたたく 真夜中の雨嘘をついてふるえながらまた嘘をつく 逢いたくて…あゝまざまざとこの胸にあゝまざまざと’罪’の文字堕ちてゆくのを知りながら愛に愛に愛にまみれて 白夜行 夜も昼も朝も今もあなただけ 降りしきる恋馬鹿な夢を叱りながらまた夢をみる 逢いたくて…あゝハラハラとこの頬にあゝハラハラと散る涙ふたりの行方 白い闇愛を愛を愛を裁(さば)いて 白夜行 …

  • 居酒屋「酒の縁」 – 塩乃華織

    飲めないお酒に 飲まれたら余計にわびしさ付きまとう肴を挟(つま)んで食べてみな優しく 声掛ける 隣り客生きていりゃ倖せは おまけだと 笑ってるささくれた溜息も凍えた心も あたたかい見知らぬ町の 一人旅のれん えにしが沁みます雪舞う 居酒屋「酒の縁(えん)」 酔いどれお客が 言う事にゃあたしは可愛くないらしい冴えない顔して飲む酒はしょっぱい 味だけさ 飲むなよと人生は不器用で いいじゃない 可愛くて…

  • 命さらしても – 塩乃華織

    たかが恋だと 呟(つぶや)いて熱燗 宵越(よいご)し 身を浸(ひた)すあんたに 心はやりゃしない今夜も待てど 待ちぼうけ男は背中で嘘をつく女は涙で嘘をつく命 命 命 さらして幸せなんか 夢見てもひとり窓辺には はぐれ月 寝ても覚めても 他人(ひと)のもの本気で惚れたら 馬鹿をみる優しい言葉は ずるいだけ抱かれるたびに そう思う男は背中で意地を張る女は涙で意地を張る泣いて 泣いて 泣いて みたって幸…

  • Rain – 塩乃華織

    “お別れしましょう” 今なら言える夜明けの 冷たい雨のせいかしら永遠なんて 何処にもなくて壊れた運命 生きるだけ触れる唇 優しい横顔余計に孤独を 連れてくるRain Rain Rain Rain この胸にRain Rain Rain Rain 雨が降る愛しても 愛しても あなたは誰かのもの 愛することを 教えてくれたあなたに 全てを委(ゆだ)ねてたけれど哀しみだけが 心に溢れ涙の雫が 雨になる少女…

  • しあわせの隣り – 塩乃華織

    明日(あした)という日に 答えがなくて眠れぬ夜も あったけど人混み紛れて 見上げた空は眩しいくらい 青空(はれ)ているくすんだルージュ 変えましょう自分をも一度 生きてゆくためにしあわせの隣りがいい描く願いは叶うしあわせの隣りにいるそれが 母へのさりげない プレゼント 信号待ちする 親子の笑顔つないだ手と手 いいものね色づく街並み 季節を重ね人生そっと 映してる一人じゃないの そう誰も涙に差し出す…

  • きのくに線 – 塩乃華織

    熊野古道で 捨てましたつまらぬ意地です 煩悩ですね聞きわけのない女ですそれでも 愛してくれますかあなた あなた ふたたびの新宮(しんぐう) 和深(わぶか) 愛を走らせきのくに線 桜盛(さくらざか)りの 天王寺三年ぶりです あれから二人生きることさえ ままならぬ人世(ひとよ)の 痛みも知りましたあなた あなた 会いたくて白浜(しらはま) 切目(きりめ) 愛の架け橋きのくに線 寄せ来る波は 優しくて痩…

  • 七尾線 – 塩乃華織

    女の願い 乗せてゆく涙で見送る 「花嫁のれん」私を捨てた あなたを追えば意地が未練 ちぎる散らばる逢いたくて 逢えなくて雪が舞う 七尾線好きと言われ女は 夢をみる 断ち切るはずの 能登の空津幡(つばた)を始発の 切符を握る気まぐれだよと 冷たい言葉なんであなた わざと言ったの逢いたくて 逢いたくて迷い泣き 七尾線愛に生きる女は 罪ですか 待つ人もない 終着駅は夜の帳(とばり) 心凍える逢いたくて …

  • ありふれた口づけ – 塩乃華織

    それは生きる為 そして愛する為ずるさも 嘘も 悲しみも人はいつしか 人生(いのち)に宿すだけどあなたに出逢い 深い心知った花が咲く 穢(けがれ)れなき 儚(はかな)さも今は 愛(いと)しくてありふれた口づけが好きあなたを 感じるからありふれた優しさでいいそれが 真実の愛 それは許すこと そして信じること涙も 意地も 過(あやま)ちもきっと笑顔へ 辿り着く為少し冷たい雨が 窓を濡らす季節傍(そば)に…

  • 陽だまりの花 – 塩乃華織

    この世の木枯(かぜ)から 庇ってくれるあなたの情けが 嬉しいのやさしい愛に 抱(いだ)かれておんなの倖せ 咲かせたい春色(はる)の口紅 恋化粧甘えて寄り添う 陽だまりの花 いけない性格(ところ)が 私にあれば叱ってください 遠慮せずあなたの愛が 微笑みがいのちの水です 陽射しです恋の花なら 八分咲き綺麗に咲きたい 陽だまりの花 季節は冬でも あなたがいればこころは春より 暖かいつないだ指を 離さず…

  • 赤い橋 – 塩乃華織

    綺麗事(きれいごと)では 愛せやしない百も承知の 恋でしたついて行こうか 行くまいか悩んで決めた 赤い橋この橋越えたら 瀬戸の海あなた… あなた見送る 日暮れ前 夢があります あなたには偉くなってね 迷わずに一期一会の 縁だから悔やんでないわ 赤い橋泣いたらあなたを 苦しめるどうか… どうかこのまま 背を向けて 霧が流れる 肱川(ひじかわ)に浮かぶおもいで うかい舟今じゃ昔の 二年前忍んでひとり …

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