塩まさる
九段の母 – 塩まさる
上野駅から 九段まで
勝手知らない 焦れったさ
杖を頼りに 一日がゝかり
伜来たぞや 逢いに来た
空を衝くよな 大鳥居
斯んな立派な 御社に
神と祀られ 勿体なさよ
母は泣けます 嬉しさに
両掌合わせて 跪き
拝むはづみの 御念仏
ハッと気付いて うろたえました
伜許せよ 田舎者
鳶が鷹の子 生んだ様で
今じゃ果報が 身に余る
金鵄勲章が 見せたいばかり
逢いに来たぞや 九段坂
上野駅から 九段まで
勝手知らない 焦れったさ
杖を頼りに 一日がゝかり
伜来たぞや 逢いに来た
空を衝くよな 大鳥居
斯んな立派な 御社に
神と祀られ 勿体なさよ
母は泣けます 嬉しさに
両掌合わせて 跪き
拝むはづみの 御念仏
ハッと気付いて うろたえました
伜許せよ 田舎者
鳶が鷹の子 生んだ様で
今じゃ果報が 身に余る
金鵄勲章が 見せたいばかり
逢いに来たぞや 九段坂
空飛ぶ鳥よ 何を啼くつわもの共が 夢の跡過ぎし日露の 戦いを憶えば胸に こみ上げる涙も熱き あゝ爾霊山(にれいざん)名も無き花が 旅人に応えて揺れる 古戦場赫い
白衣(びゃくえ)の袖を かみしめて病院船の 窓に見るああ悠久の 揚子江流れの果てに 星が飛ぶ男子の胸を 泣いてとぶ祖国を出でて 幾百里誓いし武勲 空しくもああ傷