吉澤嘉代子
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ピーマン – 吉澤嘉代子
ピーマンが食べられなかったころわたし蝶々おいかけてはしったほしいお洋服の絵をかいたアドリブのうたがとくいだった手をはなしてはまたつなぎあうものがたりを信じてた いまピーマンが食べられるようになって誰のこころもからだも宙の星とともにめぐる ピーマンが食べられなかったころわたしペダルをふみしめてさけんだおとうとを全力でまもった書道教室でほめられたパパが夜つくるあげもちいりのラーメンをあいしてた いまピ…
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わたしの犬 – 吉澤嘉代子
ねながらみつめるかげからみつめるとおくでみつめるちかくでみつめる はなしをきいてるどこまできいてるしずかにきいてるだいたいきいてる きづけばわたしたちおそろいのひとみあなたがすきあなたがすきすきすきすき おそとはたのしいおうちもうれしいひとりはさびしいあなたはやさしい あそびにいきたいおかしをたべたいたまにはなきたいいつでもねむたい かおをうずめるとおひさまのにおいあなたがすきあなたがすきすきすき…
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ほおづき – 吉澤嘉代子
切った後の爪みたいな月が浮かんで何度薄い紙をかさねたら辿りつける 寂しくて遠い場所へ今日連れ出してよ痺れる手を握っていてもう離さないで 私の中で生まれたものよ私と共に死んでくれる熱くなった身体もう誰にもさわられない知ってる痛みがこみあげるのだって無様な氷鬼 屈託ない笑みのような夢が終わってたった今からははしたない獣になる 滑らかな輪郭を確かめてみても浅ましく灼けた指が目に余っている 私の分まで泣か…
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時の子 – 吉澤嘉代子
あれは夢だったのか軍服に水筒を下げて遠くから帰ってきた姿に驚いたら消えてしまった あなたと暮らす朝焼けの窓針が動くたび進みゆく毛糸のように記憶が静かにほどけていくからわたしたちは時の子 ここに憶えている田舎から来た若者と駆け落ちした頬の熱さおままごとみたいな新婚だった あなたを探す夕暮れの駅針が動くたび近づいた子供みたいな照れ笑いを待ちわびていた毎日わたしたちは時の子 わたしは一人真夜中の淵針を回…
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幽霊 – 吉澤嘉代子
憂鬱な日々を捕まえたメロディは私たちの秘密だった再生すると透きとおる二人の声が部屋中を飛び回った 思いだしては時おり首をかしげるのどの写真にも残ってないあの子はどこの子誰だったんだろう あの頃そばにいてくれた永遠のともだち目を醒ましてしまいたくなかった染みこんだかなしみだけがいつになってもとれない洗濯機を背に途方に暮れていく夏の日あなたは幽霊だったんだ 夕闇に浮かぶ祭囃子の船を屋根の上で眺めていた…
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Into the dream – 吉澤嘉代子
よあけの橋をわたりきったころ夢と夢の交差点で会いましょう 人気の新着歌詞 未成年の主張 – 吉澤嘉代子 マイクチェック・ワンツーアーアーアーアーアー 始めましょうかこれから言うのは独白だからここだけだからマイクチェック・ワンツーピーピーピーピーピー 自主規制音今だ 泣き虫ジュゴン – 吉澤嘉代子 雨も届かない この海の底珊瑚にからまる 涙の泡122回紡いだ言葉も声にならずに…
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おとうと – 吉澤嘉代子
僕はいま写真を撮っている誰に見せるんでもないんだただ残していたいだけ 僕はいま漫画を描いている誰に見せるか決めていないただ笑わせてみたいだけ 散歩に連れていけと愛犬は吠えるけど僕だってさ宿題があるしギターも弾きたいテレビも見たい迫る将来にも悩まなきゃ だけど困難はいつか僕のすべてになって輝くいま疼く痛みだってきっと僕の声になる 僕はいま大人を演じている誰に言われたわけでもなくそうした方が楽かなって…
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うさぎのひかり – 吉澤嘉代子
遠い未来でまだ燃えているよ何度も交わした他愛ない光が 遥か彼方でただ待っているよ広がりつづける宇宙の裏側で 真夜中を照らす歌声はよすが飛び跳ねる兎の目映さに見惚れて心臓ごと奪われたとしても手を伸ばさずにはいられないでしょういつかのわたしに伝えてあげたいあなたの夢は叶うと 静かに心が重たくなるとき瞼に浮かぶは約束の青さ ゆびさきで誓うの熱い涙よもう自由だよ物語の中では 私たちだけの星に降りたち燥ぎあ…
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メモリー – 吉澤嘉代子
鞄の中にお菓子と大好きな本を仕舞ってお喋りな兎を抱いて秘密の旅に出るの 欅道を抜けると彼方には白小鳩ジオラマの街を飛ぶ小さな魔女だった たった一つの思い出を守り続けて生きていけるやさしい涙が流れてやがて運河に繋がるようにやっと見つけるのわたしのほんとうの名前を 瞼をとじたら今日を忘れてしまうのかな寂しいときの魔法も要らなくなるのかな 桜草が揺れると瞬いた緑小灰蝶果てのない箱庭に最後の季節が来た た…
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舞台 – 吉澤嘉代子
彼方の水平線から遊火がらんらんと近くなってゆく意識の境界線から白波がさんさんと砂になってゆく 幕があがったなら満ち潮が割れて一息でのまれるわ海の真ん中で出会いましょう あなたとわたしたったひとつになるのよ狂おしい愛おしいきつく抱きあってあなたとわたしたったひとりになるのよ確かに見ていて深く突き刺すわ ひそやかな別れの嘘に優しいだけの花言葉を贈りたい 恐れを見せれば人を嗅ぎつけた魔物に食われるだろう…