膝(ひざ)を組みかえて女はつぶやく
「自分に素直でありたい」
巡る季節の色に染まりながら
肩先に優しさが匂(にお)うようになった
たとえひとりの男(ひと)を本気で信じたとしても
それはそれでささやかな愛
忘れられる人がいて 忘れられない人がいる
手をとりあって生きていけるなんて 素敵な事じゃない?
ルージュひきながら女はつぶやく
「昨日の自分にさよなら…」
黄昏の人だかりに押し流されて
心から想い出をすられてしまった
たとえ昔のあなたとここで出逢ったとしても
それはそれでただのすれ違い
つかみきれる人がいて つかみきれない人がいる
肌をあわせて生きていけるなんて 幸せな事じゃない?
感じあえる人がいて 感じあえない人がいる
限りなく優しく生きていけるなんて 大切な事じゃない?
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