行きつけの町中華潰れてしまった初夏の合間に
段々と住みづらくなるダサくて治安の悪い街
あんたの荷物は触れずにそのまま
ふらり猫みたく帰ってきてもいいように
変わらない関係でいれると思った僕ら若かった
そう人は案外存外人外で僕は苛ついた
「愛しい」だなんて言わないでお願いだから
捨てられない荷物を増やさないで
もう気づいてるよ、気づいてるよ
「他に好きな人ができた」
わかってるよ、わかったけど
だけど 帰っておいでよマイダーリン
大好きだった部屋 大好きだった街
大好きだったのは僕だけで
君のいない場所に払う家賃もなくて
行く宛もないまま飛び出した
ひとりで観るドラマ ひとりで唄う歌
止まらない涙が虚しくて
薬指の愛を外したら 僕は、この街を出て行くよ
湿気を吸い込んでダメになったプレゼントのアルマーニ
淡々と取り壊し工事の進む近所の軒先
あんたの荷物は触れずにそのまま
見たくないものまで見ないでもいいように
でも気づいてるよ、気づいてるよ
「他に好きな人ができた」
わかってるよ、わかったから
だから 帰っておいでよマイダーリン
味の薄い定食屋 やたら愛想の悪いコンビニ
注文しても届かない悪びれもしないデリバリー
愛はとっくに冷めてさ温め直しても変わらない
冷めれば冷めるほど苦いコーヒーの味
大好きだった部屋 大好きだった街
大好きだったのは君なのに
君は嬉しそうに自分の夢を語って
コーヒーを残して出て行った
ふたりで観たドラマ ふたりで聴いた歌
止まらない涙が愛しくて
薬指の愛を外したら 僕は、この街を出て行くよ
じゃあね、大好きだった すべて
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