セバスチャン・ミカエリス(小野大輔)

月の雨 – セバスチャン・ミカエリス(小野大輔)

雨の日は 庭に出て
さりげなく 聞こえてくる 弦の音 身をゆだねながら
赤い薔薇 手折ろう

彼(か)の夢が 続くなら
冬の雪 暖炉の火も
眠る息 消えないように
その身を 包もう

嗚呼 暖かい 時間(とき)が止まるのなら
記憶を込め 貴方だけ 見つめ続けよう

嗚呼 その指が この髪に触れていれば
蜘蛛の糸のように ただ 甘く切なく

月が消え 深い森
霧の城 瞳の声
その命(めい)が 下るのならば
目蓋を 閉ざそう

嗚呼 穏やかな 月明かり 照らすなら
嘘の欠片(かけら) 約束の場所に隠しゆく

嗚呼 契約の 美しき眼差しが
今夜(こよい) もまた この胸を深く惑わせる

細い 路地裏 通る風
時の 囁き 残した
想い出だけを 壊れぬように 抱(いだ)く

嗚呼 世界が 朝を迎えずとも
その疵痕(きずあと) 赦され 召されるように

嗚呼 望むまま 想いが叶うなら
光の雨 我が身を 奏で壊れゆく

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