なかにし礼

生まれなかった子供への手紙 – なかにし礼

あの時お前が生まれてたら
今頃十八 娘ざかり
春の風に長い髪をなびかせながら
ぼくと腕を組んで街を歩けたろうに
とりかえしのつかぬ過ち
女の子と知って泣いたよ

ままごと遊びの夫婦だった
子供が出来ても産めなかった
三日四日話しあって喧嘩までして
川の土手を歩きながら心決めたが
思いのほか傷が深くて
ひびが入り愛もこわれた

お前は生まれて来なかったが
心の痛みは生きつづける
春が来ればちゃんと
一つ年齢(とし)をとるのさ
街を歩く女の子のうしろ姿に
苦い夢のかけら見つけて
足を止める時もあるのさ

あの時お前が生まれてたら
今頃十八 娘ざかり

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