しばたはつみ

アンクル・トム – しばたはつみ

おじさん いつものブルースを
いつものようにやっておくれ
酔ったお客がアンクル・トムの
まるい背中をたたいて言った
安い酒場 古いピアノ
淋しく死んだ男の歌を
わざと陽気にトムは歌う
故郷で親父は元気かいと
いつか私にきいたトム

おじさん 私も歌わせて
おさらばしたの 惚れた男と
マイク片手にアンクル・トムの
ほほに口づけ 私は歌う
暗い灯り 古いピアノ
お客の拍手に目を閉じながら
あの日何度めかの男と別れた
笑って小さな財布を見せ
飲めよと私に言ったトム

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合鍵 – しばたはつみ

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アダルトラブ – しばたはつみ

まだ半分は眠る私に細身の煙草をくわえさせるとあなたは片眼つぶって見せて冷たい背中扉に向ける笑ってしまう 笑ってしまう初めてふられた 少女のように裸足で窓へと駈け

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ねぇ 切らないで何処にいるのよもう半年も音沙汰なけりゃ顔も忘れてしまうじゃないベルが鳴る ためらいがちに響き出す あなたの言葉電話線クルリと巻いた指先に夜が染ま

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化石の荒野 – しばたはつみ

さめた男の胸板に耳をあてれば聴こえて来るすすり泣くような北風と獣(けもの)のうなり人は化石の街に住み愛の欠片(かけら)を探している時の魔術師にだまされて心を開い

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