いしだあゆみ

ひとり旅 – いしだあゆみ

汽車の窓には夜明けの海や
屋根になごりの雪の色
悲しい声が聞えてきます
かもめ淋しい港町
寒い所へ旅すると
心がもろくなるばかり
人の情にすがってしまう
やけにあなたが恋しくて
抱かれてみたい私です

青いインクの手紙の文字が
綴る言葉とうらはらに
ゆがんでいます曲っています
鉛色した昼下がり
遠い所へ旅すると
淋しさばかりつきまとい
わずらわしいと嘆いています
どうせ女のひとり旅
たいしたことも出来ません

寒い所へ旅すると
隣の人のぬくもりが
心にしみてくるものですね
汽車の窓には日本海
あなたが遠くなるばかり

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