谷山浩子

卵 – 谷山浩子

卵の中で 僕は生まれた
卵の中で 僕は育った
卵の中で 僕は年老い
卵の中で 死んで腐った

ような気がするほど 長い長い時が
僕の上を下を 流れて過ぎた

卵の中に 全てがある
卵の中に 世界がまるごと
座ったままで 全部手が届く
眠ったままで 全部手に入る

だからまあまあ楽しい なにということもなく
壁に映る夢に 心は躍る

だけどひとつだけ 気になることがある
かすかに聞こえる 誰かの泣き声
胸をしめつける 悲しげなその声
昼夜途切れず いつまでも続く

卵の中で 僕は生まれた
卵の中で 僕は育った
何か違うと 思いながらも
卵の世界で 僕は生きてる

早く終わればいいと 僕は思ってるんだろう
眠ったまま幕が下りればいいと

卵の殻を 誰か叩いてる
卵の外で 何かつぶやく
風の音さと 笑ったその時
空に大きな 亀裂が走った

泣き声が響く とてつもない大音響
悲鳴のような声 耳をふさいでも
突然気づいた これは僕の声だ
胸をしめつける これは僕の声

卵が割れる 僕が壊れる
こんな痛みを 僕は知らない
卵が割れる 何かが見える
こんな痛みを 僕は知らない

卵が割れる 僕が生まれる
どちらが夢か 僕は知らない
でもこれが夢なら 全てが夢だ
これが夢なら 宇宙も人も

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