結城佑莉

爪痕 – 結城佑莉

ひとつ、理由があるなら
ふたつ、同じ形の爪痕
使い古しの言葉で
何か確かめあっていた
酷く荒んだ廃墟を
ふたりただただ転がり回った
夜虫は季節さえ知らず
飛んでいた

知らなければよかったこと
星はいつか死んでしまう
その音を聴いたあなたは
泣いてもいないくせに
俯いたまま

星空を引っ掻いて破れた痕
また変わってしまった僕達だ
あなたをいつまでも忘れぬように
今、もうひとつと傷をつける

あーあ

見つからないように伸びる
四つ葉を拾い上げるあなた
得意げなその横顔と
真っ白なスニーカー
今はまだ昏いけれど
こんな日々も悪くはないと
あなたがそう言うのならば
僕もそう思えたんだ

知らなければよかったこと
この街はもう傷だらけなんだ
手を握っても行く先はさあ
分かり切っているくせに
焦らさないでよ!

夜の隙間にくたびれた嘘
あなたを暴く逆さの月
そうしていつまでも続きそうだね
でも、ありがとう
もういらないよ

ひとつ、理由があるのなら
ふたつ、同じ形の爪痕
使い古しの言葉で
何か確かめあっていた
酷く荒んだ廃墟を
ふたりただただ転がり回った
夜虫は季節さえ知らず
飛んでいた
そうだ、飛んでいたんだ

星空を引っ掻いて破れた痕
また変わってしまった僕達だ
あなたをいつまでも忘れぬように
今、もうひとつと傷をつける

夜の隙間にくたびれた嘘
あなたを暴く逆さの月
それすらいつまでも忘れぬように
今、もうひとつと傷をつける

あーあ

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