結城佑莉

渦 – 結城佑莉

午前八時 環状線を少し外れ逃避行
同じことさ あなたがいないだけ

紅色の宝石 塵になった成層圏
目を廻してわたしは渦のなか

手を伸べる まだ遠くて 阿呆に見える
あなただけ 裏切られてもいいと思えた
手を伸べる ことさえも 見えなくなる
わたしは未だに渦のなか

正しさは相対なんだ 行方もなくて
あなたが欠けた 日々さえ飲み干して
爛れた胸の奥 攪拌して 攪拌して
わたしはいつか あなたを
この鈍い空のひとつに 変えてしまう

午前八時 環情線に見失う逃避行
目を廻してわたしは渦のなか

妙な輪郭に空を塞ぐ雲
笑っているみたいだ

手を伸べる まだ遠くて 阿呆に見える
あなたなら それだけでも理由になり得た
手を伸べる ことさえも 見えなくなる
いつしか空は晴れ渡っていた

肌を刺すような陽射しのなか
息もできずにただ泥打ち回った
乾涸びた言葉も拾い集めて
あなたを失くすよ

濁りきった渦の奥 身を委ねて
あなたが隠した 意味を繰り返して
痺れたこの手で 攪拌して 攪拌して
知ったんだ

正しさなんてものはどうせ
相対なんだ 行方もなくて
あなたが欠けた 日々さえ飲み干して
爛れた胸の奥 攪拌して 攪拌して
いつかあなたを さよなら ひとつ残して
この鈍い空のひとつに 変えてしまう

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