淋しい旅のワードローブは
ほつれたシャツの糸くず
ポケットに両手を入れて
にぎわいの日暮れの街へ
人が皆ゆたかに見える
人が皆まぶしく見える
それなのに街は底冷えの海だ
ポケットに両手を入れて
おれはだれの肩も叩かない
今さら誰に追われていても
かくれる気などもうない
ポケットに両手を入れて
酔いどれの日暮れの街へ
過ぎた日を水割りにして
虚しさをカクテルにして
飲んだって街はさすらいの海だ
ポケットに両手を入れて
おれは何も抱きしめはしない
占いのばあさんとでも
酔いすぎた老人とでも
行きずりの街はおぼれたい海だ
ポケットに両手を入れて
おれは海に沈んで行こうか
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