篠原美也子

  • ひとり – 篠原美也子

    何をしても誰かに似ているようでなぜか不安でどこへ行ってもうまく話せない気がしてすこし恐くて人込みをさけて歩けばどこか淋しいないものねだりの恋いつもくり返す 汗をかいたドアに押し付けられて今日が始まる寝不足のまぶたに生まれたての朝はまぶしすぎる反戦集会が一瞬 景色をよぎるターミナルまではあと5分 息がくるしい たわいのない言葉に笑い転げてはそっと溜め息巧みに隠された皮肉をよけながら時を過ごして誰もみ…

  • ありふれたグレイ – 篠原美也子

    はやりの服は好きじゃなくてわざと知らんふりで歩いた立ち向かうこと それが勇気信じることはたやすいから 燃えるような赤に憧れて声を嗄らして叫んでみたけど燃え残る思いはいつも同じ望めば望むほどに ありふれたグレイ 自分の色がわからなくて届かぬ人は皆あざやか強く見えるのは弱いから隠していたくてひとりでいた 透き通った青になりたくてクールなふりでうつむいてみたけど水の中映る思いは同じ選べば選ぶほどに あり…

  • ジレンマ – 篠原美也子

    一日中ぼんやりとテレビばかりを眺めてた世の中はあれこれと辻褄合わせのパレード深い椅子の中から正義の味方が叫んでる君の為 君の為命さえも賭けるとわめいてる走ったことない誰かがまた裸足のランナーを語る誰が嘘でどれが本当そんなことはもうどうでもいいいい人はどこか照れ臭い悪ぶってばかりは青臭い目を閉じてるだけじゃせつなすぎて声にならずにうつむいてるだけ 幸福は様々に不幸は一様に与えられ薄い壁を隔てて辻褄合…

  • 心のゆくえ – 篠原美也子

    今日も明日もずっとずっと生涯かけて問いかけるたとえ気に染まぬなりわいの中でも 誰より高く空見ていても明日を明日を待つ理由(わけ)を 明日に魅かれる心のゆくえを どんな歌に歌われるより どんな人が語るより肌で感じるアスファルトは冷たい 故郷(くに)を後にして初めての夜 本当は一番愛してるはずのふるさとの言葉がなぜか恥ずかしくやさしさにも無口になった 故郷を後にして7日目の午後 負け犬にだけはなるんじ…

  • 夢を見ていた – 篠原美也子

    ちょっとばかりいい気になって はしゃぎすぎていたみたい優しくされて その気になって張り切りすぎてバカみたい「大丈夫だよ きみはきっと」何度も何度も頷いてその上笑顔まで見せるなんて愛想が尽きるお人好し こんな夜に似合う言葉など多分ひとつも無いドラマのように気の利いたセリフなんて言えやしないこのドアを閉めさえすれば このドアを閉めてしまえば よくあることね どこにでもあるほんのささいな出来事ねあなたも…

  • Time is ripe – 篠原美也子

    思い焦がれた挙句(あげく)の恋は どちらが悪いのかさえ解らないまま水に映った景色のように無邪気な小石にはかなく崩れたいつも放り出されていたから淋しくなんかはなかったけれども伝えきれず終わった思いが今でも時をあの日に戻すよ何か狂い始めたとすれば髪を切ったあの夏の日から思い出すことばかりが増えて明日に向かう言葉はなかった 描いた夢のすべてから あなたの姿がひとつずつ消えてゆく 忘れてしまうのなら 今心…

  • Everything – 篠原美也子

    思い出してみればどんな時でもふと気が付くとあなたのこと考えていた雨の日も風がたたく夜もこみあげてくるあなたの面影抱いて眠ってた ひとを好きになれば 誰でも同じ目には見えないものばかりが欲しくなるもの会いたくて からだがふたつに折れて声もたてずにひざを見ていた長い夜 もう今は遠い昔のようで笑ったことも やさしい言葉もそれなのになぜか今がいちばんあなたのことが 近くに思える 思い出してみれば色んなこて…

  • 同じ様に朝が – 篠原美也子

    生まれてきたのはきっと時の流れの気まぐれで特にそれらしい理由なんてひとつもなかったはずだけど生まれてきたくて生まれてきたんじゃないとほざいたあいつはすべての悲しみにそう言って言い訳をするのだろうか生まれてきたことが痛みだけにしか思えない夜にはごろりと寝転べば 何の飾りもないただの命になった気がする 金で太った政治家にも死にかけてる野良猫にも同じ様に同じ様に朝は与えられる God bless you…

  • Keeping my step – 篠原美也子

    いつものように夜は明けてゆき目覚めるのは昨日までと同じ私服を選び 化粧をして駅へ続く道を急いでゆく追いたてるように過ぎ去ってゆく時の中で古い夢など忘れ果て悲しくもない 悔やんでもいないゆるやかな坂を踏みしめるように歩いている 一日は長く 一年は早く時にはふと溜め息の中で目を閉じるけどそんな時は胸の奥からほんの少しの勇気を取り出してみるわ街にあふれる流行の歌は自由になれた やりたいようにやれと言うい…

  • Passing – 篠原美也子

    ひとりでいたらきっと泣いてしまうこんな気持ちのままじゃ帰れない言葉に出来ないくらい切ない思いに胸がざわめいてほんのわずかな仕草に望みつないで次に会える日 指折り数えてたのにあっけないひと言に自分でもおかしいくらいに傷ついて泣くのはよそう いつもより少し酔ってしまおう いつでも口笛吹いて乗り越えられるさ悲しまないで Everything is passing 誰かといたらきっと甘えてしまう心の中をき…

Back to top button