林部智史
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遥か – 林部智史
遥か遥か高く遥か遥か遠く 「見てほしい」と願うのは認めて欲しいと思うから認められたら力に自信につながるから ひとめにつかない時も自信が光ろうとする何があっても大丈夫胸を張って生きられる 遥か遥か高く登ってこいと言いながら同じ目線におりてきて広い世界をみせてくれた 「聞いてほしい」と願うのは自慢したい訳じゃない聞いてくれたあなたと“つながり”がほしいから 静けさが闇になって心覆うその時も何があっても…
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祈り – 林部智史
人の弱さ 欲の深さ時に人を 殺める戦勝ち誇る 兵士の顔忽然と 無辜の心 奪う戦場 今この日も すさぶ心諍い事 絶えぬ世界尊厳を 持てぬ命このままで いいはずない さあ祈りましょう 人の世が 平穏なれ人々が 平安なれ人が人 侵さぬ世界築くこと 祈りましょう たとえこの身 かそけくともその念じの 強く広く輪を広げ いつの日にか風となり 世を動かす 力となることを いつの日か 風となり 力となることを …
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時が過ぎるまで – 林部智史
今は抱けないよ…抱きしめられない君の横顔 淋しそうに誰をも遠ざけているから入り込めないよ…愛しているけど車に照らされた後ろ姿消えるまで この場所で見送るよわかって欲しい 無邪気に遊んだ 夏が終わりを告げる恋に夢中になる 炎くすぶる蓋を開けた心に秋風吹いて少しの疲れが 二人を変える 寄り添うほど 言葉少なく見つめるほど 悲しい大切なのはもう一度素直になれるまで 時が過ぎること 今は抱けないよ…抱きし…
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忘却のタンゴ – 林部智史
君を忘れられるなら 何を捨ててもいいさどこまでもついてくる あの面影 君の声 君の言葉 君の仕草 ぬくもりもう愛していないよと 心で何度叫んでも 僕の部屋 窓の外まで 何をみても思い出す気付いたら抱きしめている ここにいないはずの君を こんなに好きだなんて あの時気づいていればさよならの理由なんて 今はもう覚えていない恋は夢か 御伽噺目の前から消えてくれ 愛に形はないけれど 思い出は絵の様に目の中…
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ひまわり – 林部智史
でも、 もしも心残りが ひとつあるとしたら強く強く もう一度あなたを抱き締めたい 愛が不滅だと知った日私はぐっすり眠れた夢の中で振り向いてあなたが走ってくる百万本のひまわりより笑顔が輝いていた 切れない絆が ただ嬉しくて結んだ縁が ただ尊くて たったひとつ望みが今 叶うとしたらそっとそっと 何度でも額に口づけしたい 愛の永遠を信じて窓辺の小鳥が囁くふと気付けば青空が何処までも広がって百万本のひまわ…
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あなたのペースで – 林部智史
思い描いたユートピアはいつも違う世界線幸せはいつも人の庭“今”だって いつかの幸せ こうして笑い泣けること選べることがある 充分だよ 明日を迎え続けてく時に昨日を持ち越しても才能が羨ましくても打ちひしがれず 比べずに生きてるだけでいいからあなたのペースで 夢が無いのも悪くはない前を向けない日もある戦えない日 立てない日も抗えない日も知っている だから優しくなれる優しくだけでも ありたい 毎日輝けな…
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花水仙 – 林部智史
鉢植えの水仙を 買ったのはお風呂がえりの ゆうぐれ時ですこのゆかしさが おまえに似てるとあなたに言われて 嬉しかった新妻みたいに エプロンかけてあなたを世話した 愛の明け暮れ一年のみじかいくらしを懐しみ水をあげてる 私です 花売りのリヤカーが 露地うらに春を今年も はこんで来ましたこのアパートを 出る気はしませんあなたが戻って くるかも知れないお揃いで買った コーヒーカップ戸棚にひとつ ふせてあり…
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よろしかったら – 林部智史
マニキュアの乾く間も もどかしくて白い煙草に手を伸ばす Ah……私の中の少年 時々みょうに性悪(しょうわる)であなたのうなじに 焦(じ)れて煙を巻きつける欲しいものが手に入らなければ生きていたって仕方がないの例えば あなたが 男でも例えば あなたが 女でもそれはどうでもいい事なの よろしかったら もう一度よろしかったら 初めからめくるめく やさしさで あなたと私Just a lover today…
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愛のくらし – 林部智史
この両手に 花をかかえてあの日 あなたの部屋をたずねた窓をあけた ひざしの中であなたは 笑って迎えた 手をつなぎ ほほよせてくり返す 愛のくらし花は枯れて 冬が来てもすてきな日々は つづいていた 愛をかたる 言葉よりも吹きすぎる 風の中で求めあう ぬくもりが愛のかわらぬ しるし 人はいくども 愛に出会い終わりのない 愛を信じたある日 気がつく 愛の終わりに人はいくども泣いた 手をつなぎ ほほよせて…
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夢一夜 – 林部智史
素肌に片袖 通しただけで色とりどりに 脱ぎ散らかした床に広がる 絹の海 着てゆく服が まだ決まらない苛立(いらだ)たしさに 口唇かんで私ほんのり 涙ぐむ あなたに会う日の ときめきは憧憬(あこがれ)よりも 苦しみめいてあゝ 夢一夜一夜限りに咲く花のよう 匂い立つ 恋するなんて 無駄な事だと例えば人に 言ってはみてもあなたの誘い 拒めない 最後の仕上げに 手鏡みれば灯(あかり)の下で 笑ったはずが影…