友部正人

朝は詩人 – 友部正人

風は長い着物を着て
朝の通りをめざめさせる
ぼくは朝と手をつなぎ
夜まで眠ることにした

雨はおくれてやって来て
村の祭りを中断させた
オートハープを抱えた少女が
駅で電車を待っている

君が歌うその歌は
世界中の街角で朝になる
君が歌うその歌の
波紋をぼくはながめてる

日ざしは午後の砂浜に
旅行者のように立っている
白い手すりのあるベランダで
夏は鏡をのぞいてる

おりかさなったままの静けさで
大地は朝を待っている
夜明けの景色につながれて
子馬は水を飲んでいる

君が歌うその歌は
世界中の街角で朝になる
君が歌うその歌の
波紋をぼくはながめてる

朝は音もなくやって来て
戸口にメモを残していく
たくさんのメモの木漏れ日が
風が吹くたびゆれている

君が歌うその歌は
世界中の街角で朝になる
君が歌うその歌の
波紋をぼくはながめてる

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