結城佑莉

スイートピー – 結城佑莉

たぶん何処かで
出会っていたんだろう
そのくらい嫌に腑に落ちる夏

グラスはとうに 水滴を帯びて
誰よりも先に汗をかいている

でもあなたも負けてない

夏になると焦って
路傍に咲いたスイートピー
まだ間に合うよって誇らしげ
猫かぶって 化けて
藪に消えないで ハニー
せめて足跡は残していけ

その手 掴んで
あなたに出会えてよかったと
言いたいのに そっぽ向いている

世紀の大冒険 なんてクソ食らえ
並なものが嫌に腑に落ちる夏

アイスの一方を渡して
あなたが笑ってくれるのなら
結局はそれが一番だけど

たまには星も見たい

思い出って褪せて
遠く 霞んでしまうのに
たまに驚くほど鮮明

夏になると焦って
路傍に咲いたスイートピー
まだ間に合うよって誇らしげ
猫かぶって 化けて
藪に消えないで ハニー
足跡は残していけ

その手 掴んで
あなたに出会えてよかったと
言いたいのに そっぽ向いている

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