黒木渚

  • アンモナイト – 黒木渚

    君は煙になって初夏の空高く登った開かれた傷口偉大なるかなしみどうかそのままでいて消えずに残って居て 閉じ込めた土の中化石になって渦巻いたからの中響く記憶掘り起こして 命の起源ひも解くように愛していたよアンモナイトちぎれたまま浮かんでいよう後悔もトラウマも思い出も愛情も全部 君はめぐり巡ってやわらかな子犬になったあどけないぬくもり懐かしいまなざしどうかそのままでいてもう一度側にいて 抱きしめた腕の中…

  • かたつむりとダリア – 黒木渚

    のろまな私の初恋は草原に咲く鮮やかなダリア霧雨に濡れて 綺麗 綺麗いつも日陰から見てた ゆっくりゆっくり進んでゆけばいつか隣に並べるかな恋に焦がれたかたつむりもうすぐ届くはずなのに あの子が摘んでしまったダリアまぶたに残る色の中で泣いた誰にも言えないうずまきを背負って今日も私はゆっくりと歩く おろかな私の初恋は深海に沈む鈍色(にびいろ)のコイン人知れず錆びてくずれていつかなくなってしまう ゆっくり…

  • ゴーストノート – 黒木渚

    こなごなになっても君はきっと綺麗だろうなはかなくて泣きそうだどうか消えたりしないでよ 強さには根拠があるシンプルなことだよ今ならばよくわかるただ愛というだけ 目覚めたときか踊り続けてる意味とかワケなら後についてくる夜が来るたびに疼き続けてる素顔のままで会いにおいで めちゃくちゃになっても僕らきっと笑うだろうな楽しくて泣きそうだどうか消えたりしないでよ 生きるには意味がいる難しいものだねいまならば頷…

  • カタルシスかく語りき – 黒木渚

    突然の不幸なニュース久々に思い出すあの頃のこと何度も擦られてざらつきさえなくしてエモくなって連絡したって返事はない今になって優しくしたってな ああ生きてるって痛みがなくちゃ思い出せないなああ情けないや大事にするって忘れてしまうなごめん 灰になっても生きてる嘘みたいだな見送ったはずなのにもう居ないんだっけ声は聞こえるのにやってくるクライシス死んだはずの君が近いよ 来週の予定はないがやみくもに外へ出て…

  • ONE – 黒木渚

    I hate the sun It’s too brightLet’s meet after the moon riseTo bail your beauty to gaze at youressence Don’t fall in love I’m aware of thatThey say you are a SirenLook like a h…

  • ブラウスと亡霊 – 黒木渚

    ならんだ石ころみたいに隣りあう孤独でいようほろんだ文明みたいに救えない2人でいよう 勝手に見つけて運命と決めて恐々と愛して燃え尽きたこの耐えがたい淋しさを愛せたらまともな思い出になれるかな あの日見えていた未来が幻想のようにゆがんで壊してしまえたらそれでいいアルバムから抜け落ちた記憶が肩を叩いてふり返ればそこには誰も居ない 乾いた口笛みたいにさりげない2人でいよう無くしたピアスみたいにふぞろいな2…

  • Magnolia – 黒木渚

    きれいな子ばかり得をして私はいつもないがしろちやほやされたいわけじゃないただ居るのを認めて欲しいだけ 決して声には出せない真っ黒な私の願い嫉妬まみれのすさんだ春に 目のくらむような白さで死んでゆけるようにと凛々しく咲くマグノリアさえない私にも福音を 真面目なだけじゃ損をする優しいだけでは埋もれてく上手なやり方知っててもズルしてるみたいで嫌なだけ 誰にも知られたくない美しい私でいたい矛盾だらけの沈ん…

  • 死んだ文豪に恋をした – 黒木渚

    死んだ文豪に恋をして行間さまよってデートした透明なつまさき見ないふりして冥界のほとりでハグを 人は恋と革命のために生まれたこと夜になれば重なる「やみ」はぬかるんで 雨を言い訳にして私の部屋に来て口説いてるんだよ眼をそらすなよ汚れちまつたランジェリー恋をしても一人 死んだ文豪に恋をしてペン先で突っついて合図した曖昧な結末じらさないで明快な言葉で愛を 君は嘘と憧れのはざまをさまよう人眼を覚ませば不埒な…

  • 落雷 – 黒木渚

    壊れつつあるのか回復してるのかわからなくて叫ぶたまらなくて叫ぶ 酔っ払ってハイになってぺしゃんこ歓声はハイ感情はロー 闇のような光のような接点クリムトの描いたような接吻 それは落雷のように身体中に轟いて破滅しそうな歌へと枝分かれそれは落雷のように『美しい』が飛び込んでくる矛盾している命そのものが尊いよ 産まれつつあるのか滅びつつあるのかわからなくて叫ぶ情けなくて叫ぶ ぽっと出でかっさらってそれだけ…

  • 独立上昇曲 第一番 – 黒木渚

    言葉を使う動物はみんな詐欺師だよゼラチンみたいな夜の底 絶望って綺麗だ 君が死にたがっていることは本棚を見ればわかるむつかしい本は体に毒さ 燃やしてしまえよ 悟りきった目で飛べばいいんだ手すり乗り越えていっちゃえいっちゃえよ とめどない怒り あてのない祈りきまじめに絡まって世界のカラクリ くたびれたルール粉々にぶっ壊して身軽になってそこから始まる 泣けるくらいの悲しみなんて使えないもんは捨ててそれ…

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