関取花
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いつかね – 関取花
いつかひとつになれたらね 思い出めぐる旅に出ようよかばんの中にアルバムを 一冊ずつ詰めて それぞれの過ごした日々を ただ辿るだけの旅だよガイドブックには載らない ふたりだけの地図で はじめて自転車に乗った ライン川のほとり野うさぎに出会った帰り道 雨宿りをしたバス停 いつかひとつになれたらね 思い出の場所まで連れて行くよわたしの大好きな景色 あなたにも見せたいの 走り回った芝生 フレデリックの風に…
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安心したい – 関取花
丸くなったら負けだと思い一生懸命とがってきたけど油はきつい 酒もいらないたばこの煙じゃ明日は見えない 安心したい あなたの腕でカステラみたいなダブルベッドで小鳥の声と 朝の光に透けるカーテン なんて幸せ ここで一生暮らしていくの傷つくことなどもうないのよねかさぶたとれた ゴミの日捨てた痛みも涙も燃えてなくなれ 目を瞑りたい あなたの横でクリームみたいな布団の中であたたかい手に 包まれながら優しい優…
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わるくない – 関取花
あなたはあなたが好きですか わたしはわたしが好きですよ昔は大嫌いだったけど 今はそんなにわるくない 人は比べて測るもの 生まれも育ちも違うのに勝ちだ負けだ上だ下だと 並べて眺めて語るもの おどけて笑ってごまかして 空気を読んだら褒められて言いたい言葉は言えなくて こんな自分 なんですか あなたはあなたのものだから わたしはわたしのものだから思っているよりもろいから ちゃんと大事にしなくちゃね 食べ…
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空飛ぶリリー – 関取花
長い眠りから覚めて 目を開けたなら青い風包み込まれてしまったんだ ハートがうずく季節に 半分忘れかけていた 願いをこめた流れ星世界に触れた瞬間に 思い出した春の夢 恋をしてしまえよリリー 黄色い羽の女の子どこまでも飛んで行けよ ごらんよ空が綺麗だ 優しさってどんなだったっけ 教えてくれた青い風手を繋いで舞い上がったんだ ハート型の雲の上 傷つけられて当たり前 トゲの生えた言葉ばかりでいやになっちゃ…
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会いたくて – 関取花
優しくなれないわたしたち 噂話に精を出し退屈しのぎをしてるのさ 本当のことから逃げながら 人の生活を覗いては ああだこうだと石を投げ自分はここだと叫んでる 手首に傷をつけるように ああ 愛しておくれよと ああ 言えたらいいのになああ 誰かに会いたくて 会いたくて 会いたくて 黙っていたっていいんだよ そばにいてくれりゃいいんだよ特別なことはいらないよ 話を聞いてほしいだけ たった一人の恋人と 片手…
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二十歳の君よ – 関取花
とは言ってもそんなに甘いことばかりじゃないこらえる涙も増えるだろう 嘘の笑顔も覚えるだろう 苦い酒の味を知って 大人の勲章つけたって人生は一気に変わらない また季節が巡るだけ いくつもの恋をして たくさん間違えて眠れない夜もあるだろう だけど焦らないで たかが20年 されど20年あなたは生きた 生きてきたんだ それだけでもう立派なもんだどんと構えて行けばいい 買った服も出会った友も ほとんど残らな…
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はじめての気持ち – 関取花
あんなに小さかったのに すっかり綺麗になっちゃってきっと知らない間に いろんなことがあったのね はじめての恋 あの日の涙全部が君を君にしたんだね いってらっしゃい なんて美しい花咲く街を行くその背中ちょっと寂しい だけど嬉しいこんなはじめての気持ち ありがとう あんなに泣き虫だったのに 今じゃ私の方だよね覚えたてだった化粧も ずいぶん上手くなったよね やるせないこと 理不尽なこと逃げたい時は逃げて…
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ナナ – 関取花
ねえナナ 覚えてる? 私たちがまだ風の中で揺れる野花だった頃 ねえナナ 覚えてる? 世界中がまだ泥んこ手のひらの中にあった頃 なんだかもうずいぶんと遠くまで来ちゃったよ 本当のことなんか 何ひとつ知らなかった空を眺めていた 名前も知らない木の下で ねえナナ 覚えてる? 私たちにまだわたあめみたいな羽があった頃 ねえナナ 覚えてる? 世界中にまだ虹色のヴェールがかかっていた頃 あれからもうずいぶんと…
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すきのうた – 関取花
わたしは青がすき ぼくは赤がすきどっちも綺麗だね まぜたなら紫ぼくのバレエシューズ わたしのグローブどっちもかっこいいね 大切なものだね まだまだある まだまだ出会うそのときめき 抱きしめてね すきなものを拾い集めよう着てみたいもの やってみたいことなんでこれがすきなんだろうたとえ わけなんてわからなくても わたしはきみがすき ぼくはあいつがすきどっちも本物で でもまざらないものだねぼくのかけた言…
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メモリーちゃん – 関取花
いつか色褪せちゃうファンタジー少しずつ消えるメモリーそれでもいいと思えたよ 見慣れた街並みも 空の青さもとても綺麗だった 君となら じゃれあった毎日の くだらない出来事もひとつ残らず全部覚えてる目が合った瞬間の 何気ない愛しさも昨日のことみたいに思い出す いつか口ずさんでたメロディー思わず重ねたハーモニーへたくそすぎて笑ったね やけに冷える夜も 雨の匂いもなぜか悪くなかった 君となら 寂しさの正体…