細井徳太郎

日々をあるいていく – 細井徳太郎

国境から日々をあるいていく。つもりもない風でも生きている。
風寄りの自販機に小銭を入れて、ブレイキ一つ、あーあ。
残響から日々を探し当てる。束の間の音だけに沁みてくる。
あんたらの言いたいことだって分かるけど。

呼び声一つ、横目にしたままで、誰も笑えない
映写機で写してもらえたら、このままで、崖の端っこに行こうよ

ぽつり一つ雨粒が落ちても。誰も気付かなくてもいいんだよ。
逆さまにした靴の下にも双眼鏡。三日月一つ、あーあ。
もう今日かな?これも期限切れ。君が喜ぶ顔が見たいだけ
落ちた照明の中、目を凝らしても。

星屑一つ、横目にしたままで、息抜きしてもいいんだよ、誰も怒らない
醒めないでも、夢は見れるのかな?

やさしい日々と淡やかな色、それだけでいいのに。

国境から日々をあるいていく。来ていいよ。

残響から日々を探し当てる。来ていいよ。

つもりもない風でも生きている。生きていいよ。

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