鼻から牛乳 – 嘉門達夫
女と二人でボクの部屋に帰ってきたら
留守番電話のランプが
チカチカ点滅している 誰からだろう?
もしも他の女からのメッセージだとこりゃヤバイ
イチかバチかこりゃバクチだと再生ボタン
ピー…
「あっアタシ 最近全然会ってくれないのね
デンワまってまーす」ピー
チャラリー 鼻から牛乳
なんとかその場はごまかして
女はトイレを貸してねと
トイレに入って出てきてシビアに一言こう言った
「トイレットペーパー三角に折ってあったけど
誰か来てたの?」
チャラリー 鼻から牛乳
「あっ あれ オレが折ってん」
何とかその場はごまかして
女はバスルームにシャワーを浴びに
今のうちさっきの留守電の女に電話する
女がシャワーからでてくる気配
慌てて電話を切った
バスタオルで髪ふきながら
女はこう言った
「誰にデンワしてたの?」
チャラリー鼻から牛乳
「いやあのデンワなんかしてないって」「ウソ」
「ホントだって」「じゃあ リダイヤルしてもいい?」
チャラリー鼻から牛乳
なんとかその場はごまかして
うまくベッドに連れてゆき
イチャイチャしてたら 今日は絶対来るはずのない
彼女が合鍵で入ってきた ガチャ 「誰それ」
チャラリー 鼻から牛乳
「いやあの 気分が悪い言うてたから介抱しててん」
チャラリー 鼻から牛乳
「もう 大事な話があって来たのに…」
「大事な話って何だよ」「先月から…ないの」
チャラリー 鼻から牛乳
鼻から牛乳 鼻から牛乳 鼻から牛乳
最近知り合った彼と 二人で映画に出掛けたの
「あー 面白かった」
「そう この前観たやつのほうが良かったじゃない」
「え?この前って?」
チャラリー 鼻から牛乳
なんとかその場はごまかして
こじんまりした馴染みのイタめし屋
二人で入って行くとマスター 一言こう言った
「マスターこんばんは 何か食べさせてくれる?」
「おっ彼氏 髪型変わったじゃん」「えっ!?」
チャラリー鼻から牛乳
なんとかその場はごまかして
彼がアタシの部屋にやってきた
彼がトイレに入って出てきて一言こう言った
「便座が上にあがってたけど 誰かきてたの?」
チャラリー 鼻から牛乳
「いや あの 掃除したから」
「タバコ吸ってもいいかな」「あ どうぞ ハイ灰皿」
「え?君タバコ吸ったっけ?」
チャラリー 鼻から牛乳
「あの私は吸わないけど いえ あの アニキが」
「ハブラシ2本あるんだ」
チャラリー 鼻から牛乳
「いや あの いとこのね」「あのヒゲソリは」
チャラリー 鼻から牛乳
「いや あの ワキ剃るから」
「ヘアトニックもあるんだ」
チャラリー 鼻から牛乳
「うん、たったまには使うから」
「男物のパジャマもあるんだ」
チャラリー 鼻から牛乳
「いや ゆったりしてるからさ 好き好きなのよね」
「君 トランクスもはくんだ」
チャラリー 鼻から牛乳
「うん あのボクシングやるから」「背広も着るんだ」
チャラリー 鼻から牛乳
「いや あの宝塚にいたことあるから」
「26cmの靴履いてるんだ」
チャラリー 鼻から牛乳
「朝 足大きいの」
「写真たてに並んで写ってる男の人誰?」
チャラリー 鼻から牛乳
「お父さん」「若いお父さんなんだ」
チャラリー 鼻から牛乳
「お父さんが2才の時の子なの」
なんとかその場はごまかして
彼と2人でベッドイン
「いつものように早く縛ってー!!」「えっ!?」
チャラリー 鼻から牛乳
鼻から牛乳 鼻から牛乳 鼻から牛乳