北川裕二
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女つれづれ – 北川裕二
夜(よ)が更けて…秋風吹いて 身もやせておんな素肌の 人恋しさよあなたの体の 熱さが欲しいないと思えば なお欲しい女はほろほろ すすり泣く 月冴(さ)えて…酒ひと肌の ぬくもりは憎い人さえ 愛(いと)しくさせるいいこと一つで 九(ここの)つ涙そんな昔も なつかしい女はしみじみ 酔いたがる 消えそうに…鳴くこおろぎの 哀しさに炬燵(こたつ)今年は はや目に欲しいあなたの背中を 追いかけるよに夢で今夜…
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人生、秋最中 – 北川裕二
若き獅子がいて 熱き友がいてひとりふたりと いなくなりひとつふたつと 灯(ひ)が消えてあの頃も あの街も 風の中人生を奮い立たせるそんなものまだありますか寒空(さむぞら)の荒野に臨んだあの勇気まだありますか答えてほしい 人生、秋最中 地味なネクタイを 燃える赤に変え肩を丸めて 歩く癖やめて駆け出す 俺がいる忘れ事 思い出す 風の中高らかに夢を語ったあの場所を覚えてますか殴り合い椅子を倒したあの店を…
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みちのくふくしまふるさと音頭 – 北川裕二
おらが会津(あいづ)で 自慢のものは蔵と お酒と 宝山(たからやま)踊るおなごの きれいどこみちのくふくしまふるさと音頭 雪を解(と)かして 一度に咲いた梅と 桜と ももの花ちゃぐちゃぐ馬っ子 三春駒(みはるごま)みちのくふくしまふるさと音頭 相馬野馬(そうまのま)追い 男の祭り燃える陣羽(じんば)に 清め酒手綱(たづな)さばきに 汗吹雪(あせふぶき)みちのくふくしまふるさと音頭 熱海 湯の町 紅…
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うらみごと – 北川裕二
嘘でもいいから 涙をみせて言って欲しいの 気休めを何から何まで あずけた人に何故か云えない うらみごとおんな心は 悲しいものねいつも切ない 忍び泣き かけらになっても 集めて編めばそれでも夢は 夢なのよともしびひとつ みつけた人にやっぱり云えない うらみごとおんな心は 悲しいものねいつもはぐれて 忍び泣き わかっているのよ お別れなのねどうせいつかは こうなるのわたしのすべてを あずけた人に駄目ね…
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次男坊がらす – 北川裕二
雪解け水で 産湯をあびた北の生まれの 次男坊がらす縞の合羽に 希望(おもい)を抱いて故郷(くに)を離れて 三年三月(さんねんみつき)いまだしがない 三度笠 旅から旅の 世間の隅は風がしみるよ 次男坊がらす故郷(くに)のおふくろ 元気だろうかぎゅっと握った お守りぶくろ月よ照らすな 胸の中(うち) 日向(ひなた)に曇り 花にはあらし裏目裏目の 次男坊がらす出世双六 振り分け荷物夢の一文字 咲かせるま…
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演歌川 – 北川裕二
みぞれ薄野 演歌川男ごころの 気まぐれに流れ流され 今夜もひとり毒と知りつつ 抱かれる酒に過去(きず)をひきずる 花…花…花ばかり 風の新宿 演歌川夢のありそな ふりをして酔って騒いで 唄っちゃいてもどこか淋しい 迷い子同志背で泣いてる 人…人…人ばかり 雨の曽根崎 演歌川さめて悲しい 夜更け頃燃えてすごした 残り火胸に消えて行く影 のこされる影なみだ背負った 恋…恋…恋ばかり 中洲こぼれ灯 演歌…
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作並有情 – 北川裕二
どうせ実らぬ 恋ひとつ追って来ました せせらぎの宿こころやさしい みちのくはつらい女の 母になるあゝ 湯の香り 湯の香り 作並情け町 どうせ消えない 罪のあと愛で描(えが)いた 倖せだけど夢は砕(くだ)けて 霧になり夢は流れて 広瀬川あゝ 恋いのち 恋いのち 作並情け町 どうせ果てない 人生(たび)ひとりせめて二人の 思い出グラスやつれ笑顔を 浮べては花の咲く日を 夢にみるあゝ 春いづこ 春いづこ…
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愛の迷路 – 北川裕二
あなたは逢うたび わたしを責める好きなら証拠を 見せろと責めるそれが それがそれが今では あなたに絡む冷たくなったと あなたに絡むあぁたまらない程 たまらない程哀しくなるの あなたは時々 背中を向ける近づけないよな 背中を向けるそれを それをそれを今夜は わたしが追うの他人(ひと)から忠告 されても追うのあぁたまらない程 たまらない程空(むな)しくなるの 別れが来たのね 仕方がないわ惨じめなおんな…
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流転 – 北川裕二
たとえ一夜(ひとよ)でも お前をそばにおいて夫婦の真似ごと してみたかった男の我がままを ゆるしてくれないか遠く離れても 愛は変らない流れ流れて 流れ流れてかもめ群れとぶ 北国流れ流れて 流れ流れてかもめ群れとぶ 北国 今も想い出す お前の可愛いしぐさ小指で前髪 かきあげるくせやりばのない俺に 無情な雪雲よ外は吹ぶいて ひとり酒を酌む流れ流れて 流れ流れて霧笛泣いてる 北国流れ流れて 流れ流れて霧…
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なみだぐせ – 北川裕二
好きなの 好きなの 好きなのよ忘れられない あの人が優しく抱かれた その胸に今はどなたが 住むのやら別れぐせ 不倖ぐせ なみだぐせあなた あなた…私ひとりの未練恋 飲んでも 飲んでも 想い出はお酒なんかで 流せない死ぬまで一緒と 信じてた弱い女の ひとり酒別れぐせ 不倖ぐせ なみだぐせあなた あなた…私ひとりの未練恋 駄目なの 駄目なの 無理なのね呼んでみたって 還らない淋しくひとり寝 夢にまで浮…