なるみや
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月夜の庭にて – なるみや
届きそうで届かない誰ももう踏み入らないまるで、そう、月夜の庭 熱を帯びてる園に萎れかけた心に水と、灯りと、少しの痛みをあげる 摘んでみたい戻れなくても二人なら構わないそうじゃない?今日は真夜中が隠すあなたの憂いまで分かりたい今じゃない? 掴めそうで掴めない誰のものにもならないあなたは、そう、月夜の庭 今日の月には特に静けさが似合うのに唄と、また唄と、少しざらついた冗談 この花に名付けてみてよ不慣れ…
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だって、優等生 – なるみや
私 生涯だって優等生大人たちの 従順な犬でありたいの 忠実に生きてこそ脳が足らない雑魚と違うのたちまちほらね もうお気に入り 汚らし 涙で濡れた心の奥の深い穴を埋めて欲しいなら密やかに かつ鮮やかな弱みを晒しましょうこれも社会のお勉強ね 私 生涯だって優等生大人たちの 従順な犬でありたいお年頃君は 生涯到底劣等生私よりも幸せにならないでね ああ、自由に生きる君が私よりも幸せにならないでね! 白い肌…
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死が僕らに恋してる – なるみや
底辺の日々を綴ったその音だけが、青春でした。大胆で脆さをもった突き刺す詞が、鮮やかでした。 やがて春愁のまにまに花となる その時を待ちわびて、来たる死が僕らに恋してる。偽れない僕らはそう、いつも不幸でいたがるから。黒い感情を大事に抱いて離さず思わせぶりをしてるからさ、相応さ、死が僕らに恋してる。 際限ない不憫の全部書き起こして音を奏でている幼い日焼き付けた彼になりたい会いたい抱きたい ねえどうして…
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リードコントロール – なるみや
この頃 君が纏う「躾直し」の季節の匂い強かな佇まいの割に脆いソコに触れるの 怒らないで Darling!だってホントのことだもん身体ばっかデカくなって中身はガキだよね(笑)暴れないで Doggie!私 華奢な手だからリードなんて気まぐれでパッと落としちゃうかも 「だらしない! 意気地ない! ホント君は救えない!堕落に耽っちゃってご愁傷様夢がない! 糧もない! くせに愛は欲しいの?なら3回まわってお…
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乙女的ストーキング – なるみや
あ、あ、アナタをみ、み、みていたい、い、いつもの3番ホームでま、ま、まいにちあ、あ、あつめるひ、ひ、ひみつの横顔コレクション 純情でした 「きみ」をただ知りたい好奇心は時に乙女の仇ね鮮烈でした アナタの瞳は直接見るには眩しすぎたのです 何気ない仕草のひとつひとつ滲み出るその才能首筋を伝う汗も一滴残さず その行方を見届けたいわ… (アナタいつでも)た、た、正しくき、き、清らかに、に、憎らしくされど恋…
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不純喫茶 – なるみや
ねえ 今 触って確かめてこわばる身体が未体験の証思想 肌触り その全て誰にも明かさずここまで来たの ああ これまでのね恋が恋じゃないみたいだねその声に聴き入ってしまった午後があるでしょうふと掴まれたヴィンテージのカップさえ貴方の口付けに 今ときめき それは不純 燻る 紛れない不純今でも記憶の真ん中で私惑わすこれは矛盾 無垢 多分 手遅れよ矛盾切ないほど扇情的で 燃えるようなプラトニックいき過ぎた純…
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可愛いあの子が気にゐらない – なるみや
芽吹きだしてるあの子の春に気づかないほど鈍くはないわ時効外れの恋慕がもたらす季節外れの熱中症よ あぁ その髪のふと香る甘美に魅せられてほら、もうとっくに手遅れです、もう どっくん、どっくん、です 可愛いあの子が気に入らない悩める睫毛と恋する乙女の瞳を私は見逃さない友達なんかになりたくないどうして愛しいの それでいてどうしてこんな憎らしいの青い春に咲くあの子が気に入らない 私の中の咲かない恋を打ち明…
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永眠のすゝめ – なるみや
いつものように強く叩いたアラームとうとう今日は壊れちゃった愛想込めた挨拶だってお隣さんに無視されたんだすり減っていく靴底が まるで心みたい今日も頬が上がりますように 出来損ないに、中身はないから、繕えば繕うほど惨めねまぁ 今日を必死に乗り切った先に迫る明日に希望なんてひとつもないのですが…。 こんなにぼろぼろでぐちゃぐちゃな心のままで動いてしまう体が憎らしい日のこと平熱知らせる体温計に…
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醜形恐怖症 – なるみや
つまり顔面失敗作の僕だから一生報われないのです! 「結局努力する子が1番」なんて戯言にはだまされない少女漫画の最後笑うのは綺麗な顔したヒロインだから 鏡もカメラも自傷道具画面の中で笑うあの子にただ醜い妬みが渦巻いて性格まで腐ったの おまじないをかけて神様!華やかで残酷な魔法をね魘された夜も溶かせたのならそれはなんと素敵な夢物語肌伝うもの感じながらあいまいな意識を手放した日あの人が傷口に顔寄せてそっ…