THE BARRETT

  • 愛想尽かした – THE BARRETT

    愛想尽かしたよ全て捨て去るつもりだ 日暮れを待たずにお前は家を出たのさ満ち足りた夢を見続けるのを拒んで何処までもつづく道に果敢に挑んだ 雨の降る夜は血塗(まみ)れになり転がる夢に怯えては寒さに震えているよ 見失いそうだ幽かな光も 夜となく昼となく彷徨い歩けば 勇み足なのか己を過信したのか 軌道に乗れずにお前は迷い始めた 諦めつけなよ 全ての手を出し尽くし自分の非力は今更判ってるだろうつまらない事で…

  • せっかち一週間 – THE BARRETT

    螺子(ねじ)の外れた子供が云うには俄か仕込みだけじゃ長持ちしないぜ派手で中身の無い女にさえ鼻であしらわれりゃ行く末不安だ 自由気儘に生きてきた心算(つもり)が予定調和に踊らされていたのさ風に追われて西へ東へと昔を名残り惜しむ暇も無い 時は流れ早一週口笛吹いてりゃあっと云う間さ 月が真ん円まんで酔っぱらってあの娘にチューすで 艶話で終われば良いものを日毎積もる重さに耐えかねた何時か削がれる化けの皮な…

  • 箱入り子供 – THE BARRETT

    訳知り顔の箱入り子供(がき)が大手を振って歩いているよ道に寝そべる俺に一瞥(いちべつ)屑山を踏みつけてくよ 若さにかまけ無闇矢鱈と威勢の良い事ばかり云うよ先を見越しちゃ不安ばかりで考えたら遣切(やりき)れぬだろう 大きくなれよ 我武者羅だけ買ってやる 何処に出しても恥ずかしくない型に嵌った玩具(おもちゃ)を作りな宥(なだ)められたり脅されたりで首傾げる暇も無いだろう 訳知り顔の箱入り子供の歯車欠け…

  • 日向で寝てる – THE BARRETT

    穏やかな午後日向に寝そべりちっとも変わり映えのない日々を疎(うとん)じてみるけど大きな夢に少ない元手じゃ今更気負ってみても始まらないかな 判った顔してしばしば仕事をさぼった若過ぎた賭けの附(つけ)だけ手元に残った 時々空を見上げては想うたった一度のチャンスは何時訪れたろう 言葉が足りず頷くばかりじゃ自分にすら嫌気が差し項垂(うなだ)れてしまう日もあるそれでも何時か未だ救われると少しは信じてるのさ遣…

  • 含羞航海記 – THE BARRETT

    世の中を易く渡れぬ奴等が縋(すが)る女共力で振り払い見渡す限りの大海原に人生賭けると港を後にした 太陽ぎらぎら照りつけているよゆっくり進路を進んで行く船俗世の汚れを潮に流せば気分はよーそろ飛魚跳ねるよ 順風に帆を揚げてざぶーん目指すは新天地ざぶーん生まれて来た事がおお 漸(ようや)く嬉しくなるよ ところが晴天俄に狂った嵐に一体何処へ流されてくのか視界を遮る荒波に揉まれ奴等はおろおろ極楽往生かい? …

  • 雨曝しの夜に – THE BARRETT

    舞い上がる西風に攫(さら)われたいよ膨らむだけ膨らんだ風船だから人知れずひと思いに終わりたいよ蒼褪めた人波にもう耐えられない 震えて受話器を握る繋ぎ止めたいのに戸惑う君の言葉に張り裂かれそう 滲(にじ)んでゆく 雨曝しの夜跡切れてゆく声を抱いて眠るよ 目を閉じれば見えるのさ鮮やかな陽が忘れてたよ安らぎに満ち溢れた君 真夜中舗道に崩れ酔い潰れても冽(つめ)たい後悔を辿り泣き伏している 沈んでゆく 雨…

  • 俺はあやかし – THE BARRETT

    夜をひとっ飛び俺等はあやかし浮かれ調子の喇叭(らっぱ)吹き鳴らす言葉巧みに人を誑(たぶらか)す 馬の糞でも喰らうが良いよ戯れと笑い飛ばすよ 流れを乱し睨みを利かす碧めた月だけが見てる 日の出と共に姿を隠し又も取らぬ狸の皮算用 道理人は俺を忌嫌いツキが落ちると逃げて廻るのさ 俺等を袖にしちゃ駄目さ 独りになれば何の事はない附焼刃の智栄も剥れて虚しい誘いに乗る者も無く古(いにしえ)の伽話と忘れられてし…

  • 裸の日々 – THE BARRETT

    飛び出したミサイルが彼方を狙い逃げ惑う人々の群れが視えるそれを嘲笑うかの様に崩れ次々と道を塞ぐビルの残骸が 矢継早に唸る轟音に怯え俺達は後戻りできぬ事を知る僅かに射す陽の光だけを頼りに虫の様に手足を縮めたまま生きた 夢にすら見ない安息は火の粉と共に瞬く間に消え去ったまま 何年続くかと思われた時間まやかしの静寂が俺達を包む恐る恐る首を出し見たものは何一つ残らぬ無限の原野ばかり 自ら科した鎖さえ解き放…

  • 生まれた時から – THE BARRETT

    今夜は独りにしないで行き着く先が視えるから 痛みを隠し笑っても寂しくなったら俺等の家に来いよ寒い時は二人で抱き合っていれば何も恐くなかった筈だろう気の所為(せい)かい 何処(どっか)でツキが落ちたのさ拾いに行く気も無いのかいがっくり肩を落としても誰かを怨めば自分も疵(きず)付くのさ晴れた空に小石を投げつけてみても無駄な事だよ天に唾するとはそう云う事だろ 辛い時も判ってる生まれた時から何度か訪れるも…

  • 天国の月 – THE BARRETT

    大きな荷物を抱えていたけど草疲(くたび)れた夢にゃ不似合いだったのさ 今まで暮らしてくれてありがとう空の薄墨が溶け出す前に行くよ 未だ見ぬ重さに潰されそうだ怯えて気付けば空廻り 天国の月 俺等にゃ未だ見えない 小さな誤ち音も無く積もり残した轍(わだち)を埋め尽くしてしまう 知らずに固めた飾りを払って賢(さか)しらを崇める陳腐な自分に御沙羅婆 優しい音色に包まれてると喧騒も暫く嘘の様 天国の月 光を…

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