SETA

  • キスしてくれてありがとう – SETA

    今年はじめて焼かれた肌に乗せたオレンジ 君との思い出ありがとうキスしてくれて ずっと抱えて生きてきたこととても自然に 君にはいえたありがとう笑ってくれて 風がいま背中を押している一生こうしていようよひとりじゃなけりゃ出来たこと全部君としたいからゆっくりでいいな それがいいよな 小さなことでくよくよしちゃうわたしと違って 君は大きいなありがとう守ってくれてありがとう見つけてくれて 空はただ澄み渡って…

  • 同級生だった – SETA

    失望だけはさせまいと丁寧に巻き上げた髪左に傾いたヒールも今日は履きこなせてるみたい 中央東口改札を抜けて数年ぶりの再会へ急ぐ左手あげたら 交わるその瞳黄色い点滅が光った ああ変わらないその声 笑い顔時々混ざる故郷の言葉あの頃に引き戻されてく 苦しくなるああどうしてまた戻ろうとするんだろうわからないふりをしながら わたしたち同級生だった 同級生だった…… 瞬き止めて焼き付けた新しい卒業写真さよならと…

  • さくら前夜 – SETA

    一年なんて秒だったよなトイレに飾ったカレンダーは夏の終わりで止まったまま 春が動き出そうとしてんのにな僕は何周目かの人生を持て余すの 「協調性が足りないようです。落ち着きもないようで。」通信簿に油性ペンで書かれてた文字をいつか消して さくら、いまさら魅せるのは 捨てたはずのがんじがらまった夢の跡さくら、うらはら誘うのは 僕の魂ほら1.2の3で叫ぶんだああ ああ1.2の3で叫ぶんだ 人生なんて秒なん…

  • ひとりごはん – SETA

    わかめが増えたら水かけて 豆腐は真ん中で分けましょう沸かした鍋に顆粒だしとすべて すべて 入れてしまいましょう 今日はつくづく疲れたよ味噌汁ぐつぐつ煮えるよ 一人前の夕ご飯にいただきますってお辞儀してごちそうさまの独り言がねわたしの心を突き抜けて遠い故郷へ駆けていく 昨日の豆腐を取り出してキムチと納豆をかけましょうササミも並べてハイボール見たい 見たかったドラマ見よう 昨日とどこが違うんだ今夜はど…

  • 30歳までひとりだったら – SETA

    巻き続けたオルゴールって最後はどうなるんだろうね止まらないことよりも壊れないことの方が大事ね 過ぎ去っていった人たちを残念だったねと笑い合えるにははじまることよりもはじまらないことの方が大事ね 逆光の中シルエットだけで君だとわかる 私の親友私の相棒 私の何か 「30歳までひとりだったら結婚しようね」揺れて 跳ねた心はきっと友達じゃない だけどふたり とても ずるすぎる何もしないまま朝の尻尾を掴むの…

  • 月下 – SETA

    波打ち際に捨てた2人の靴だけはいつか自由の国たどり着いて欲しい 満月に向かって歩みを止めないで月だけが 2人の愛を認めてくれる いつかわたしもそんな愛に堕ちて行くのだろう 三日月 三日月わたしは、愛を知らない三日月 三日月片方を探している何もかも壊れるほど何もかも差し出すほど馬鹿になりたい月の下 白いショートケーキに誇らしげに乗った赤い少女たちは運命を待ってる 三日月 三日月わたしは、愛に触れたい…

  • 15センチの花束 – SETA

    わたしの人生を束ねたら下手くそなモザイクみたいだな小田急線沿いの花屋にて控えめにってお願いした直径15センチの花束直径15センチの花束 花束と身を寄せ合って3番ホームを歩いてた満員電車のドアが開く潰されそうで見送った直径15センチの花束直径15センチの花束 「まもなく電車が参ります」「黄色い線まで下がってください」これ以上、下がれないこれ以上、進みたい今日はあなたの誕生日だから花束になって会いに行…

  • 世界に – SETA

    コーヒーだけでひとしきり話した喫茶店でさ小数点以下の割り勘彼女が多く払った「もう大丈夫だから」って痛そうに笑った 会計あとでもらった飴舐めてどこへ行こうもうあそこの街もこの前行ったし「わたしの傘に入って」ここじゃないところへ行こう 行こう 行こう 行こう 環七通りに ぶつかるまではさ君に起きた嫌なことぜんぶを当たり前にしないで怒って欲しい世界に 世界に 世界に我慢 ばっかな 世界に 「諦めたくて諦…

  • 鬼の子 – SETA

    東京は入り口で迷うからそりゃないよ あぶないよ一生寄り道できる街だから下手こきそうで 泣きそうや そんな時に向こうの路地裏でひとだかりよりかかり、、、 いれて、それ混ぜて武器は持ってないから嫌わないでよ一緒に遊ぼう楽しそうに見えたみんなの輪の中にはひとりぼっちの鬼の子「にえたかどうだか食べてみよう」 東京は他人ばかり目立つからこりゃだめよ 僕なんて高層ビルは今にも突き抜ける空想の あの空を そんな…

  • 夏の恥まり – SETA

    夏の始まりは少し解けたポニーテール気を抜いちゃだめさみんなに置いてかれるから 雨が叩くのはあたしの小さなプライドさできやしないのに強がった夏の恥まり こんなことをみんな乗り越えてきたのかな? 急げ急げとうるさくて靴の踵を踏んで走り出すんだ恥ずかしくないはずがない梅雨が明けてしまう前に 賢く賢くならなくちゃ鼻のニキビも早く治さなくちゃ急かされてしまう急かされてしまった 夏の始まりに女になった友が言う…

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