Sano ibuki

menthol – Sano ibuki

もう何回目か分からないほどに
痛む肺に染み付けた結晶
鋭く尖って、忘れようにも
抉って消えない
貴方のせいだ

どうせ どっかで
私のこと忘れてしまって
ぷかぷかと哀に舞って
くだらない傷の舐め合い 繰り返す
本物なんて一つもなくて
偽って、心地が良くって
不幸な天国だ

このまま
愛されたいな ありのまま
でも演じなきゃ、愛されないか
可哀想で悲劇的な誰かごっこ 褒めて
ちくり ちくちく 止まないでって
一人 しくしくと泣かないように
残り香でもよかった
貴方が残った

どうかしてるんだってさ 私
どうかしてるんだってさ だって
張りたてのキャンバスみたいな
その肌に傷付けたい
どうかしちゃいたんだ 貴方と
同化しちゃいたんだって
おんなじ毒に犯されてたいって
悪いですか?

果たして、どっかで
貴方のこと忘れてしまえて
きらきらの安心に舞って
つまらない傷の癒し合い 繰り返す
偽物なんて一つもなくて
滑稽なループ 心地悪くて
幸せな地獄だ

愛されたいな ありのまま
でも演じなきゃ、分からないか
不公平で盲目的な恋ごっこ 抱きしめて
ちくり ちくちく 止むときがあって
一人 しくしくと騙したって
残り香じゃ足りないな
もう全部、全部

一寸先は光。だって
言葉に踊って馬鹿みたいだ
肺から胸へ 胸から心へ 蝕む結晶化
出る杭の私なら。だって
打たれ強いって冗談じゃないね
もう麻痺してるんだ

愛されたいな ありのまま
でも演じたって、届かないの
誤魔化して失くしてしまった私はどこ
ちくり ちくちくが癖になって
一人 しくしくも演じ切るから
帰っておいで

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