n-buna

  • 拝啓、夏に溺れる – n-buna

    愛想がつきたようなんだ 僕に廃頽十九の傘に灯がついてる 今日も 十二時過ぎのアスファルトに落ちた君の小さな命の重ね火を そっと 雨が途切れたら朝に藍がかかる蛍光色の羽と濡れた君の手に縋った 夏蝉 空の果て褪せた唄は耳に溶けたまま 君の声が響く 夏の隅を街に泳ぐさかなのように エンドロールにしがみついてる 今日も一人何かにすがって息をする 明日も 誰かの声が重なっても僕ら席を立つことも忘れてしまって…

  • 夜明けと蛍 – n-buna

    淡い月に見とれてしまうから暗い足元も見えずに 転んだことに気がつけないまま遠い夜の星が滲む したいことが見つけられないから急いだ振り 俯くまま 転んだ後に笑われてるのも気づかない振りをするのだ 形のない歌で朝を描いたまま浅い浅い夏の向こうに 冷たくない君の手のひらが見えた淡い空 明けの蛍 自分がただの染みに見えるほど嫌いなものが増えたので 地球の裏側へ飛びたいのだ無人の駅に届くまで 昨日の僕に出会…

  • 無人駅 – n-buna

    青い空に今更気付いたようだ道を抜けた木陰の駅で花を見ている 絵を描いていた今日も思い出が散って征く そんな視界だって無人なのに 大嫌いさ 痛いくらいだ 辛い暗いだを描いてしまうくせ、愛だ恋だに持ってくなんてさ お願いだ、笑ってくれよ そのまま灰になって、気球になって気丈に澄んだ世界を生きたいから 臆病な僕がそれを口に出来てたら 思い出ほど綺麗に描いたもんだ青を塗った画材を今日も眺めている つまりこ…

  • ヒグレギ – n-buna

    君のことが実は笑えないんだきっと僕も一人ぼっちだったので 白い雲が遠のいては溶けた浅い夏が軋む 歩けば 歩けば 変わるように思うんだ頭の裏 日暮れも消えない癖に 死んじゃいたいあぁ全部を知っちゃいたいんだ 夕凪を穿った緑青の色が滑稽なくらい僕の目を奪ったんだ もうどうか笑っていたい逢い俯いて歩く今日を 茜色の夕が焦がしていく 君の声も実は忘れてるんだ時を重ね何かが変わったのか 重い嘘が僕を押しつぶ…

  • もうじき夏が終わるから – n-buna

    朝、小説を読んだ君を待っていた 夜になって気がついた花火の音 花揺ら歌い今日藍を飛ばせ貴方に聞こえないように消えて それを言えない 僕じゃ言えないよ今に夏が終わってくから 昼顔 鳥居 鳳仙花 バス停陽の落ちる街を歩いていた 今日もまだ 朝、ラジオを聞いた君を待っていた 夜になって気がついたことを覚えている 昨日もピアノを弾いた朝を待っている唄を歌っている 花詩 誓い 今日藍を飛ばせ貴方に聞こえない…

  • ウミユリ海底譚 – n-buna

    待って わかってよ何でもないから僕の歌を笑わないで 空中散歩のSOS僕は 僕は 僕は 今 灰に塗れてく海の底 息を飲み干す夢を見た ただ 揺らぎの中 空を眺める僕の手を遮った 夢の跡が 君の嗚咽が吐き出せない泡沫の庭の隅を 光の泳ぐ空にさざめく文字の奥 波の狭間で 君が遠のいただけ 「なんて」 もっと縋ってよ知ってしまうから僕の歌を笑わないで 海中列車に遠のいた涙なんて なんて 取り去ってしまって…

  • ずっと空を見ていた – n-buna

    こうしたいとかはあまりなくてあぁしたいとかも伝えないで 明日 明日 また会えたらいいなぁ、と思うだけ それからは知っての通りさ僕は絵ばかり描いている 花火が散れば夏が最後でもこんな未来観なんか壊してしまうのか まぁどうやったって僕じゃわかっていた 頭上の全景から君が消えてゆく もうどうなったって僕らの目には映る訳ないから 今日をまた思い出すまで。 命日、空を描いていた駅のホーム、クチナシ、残夏、遠…

  • 始発とカフカ – n-buna

    伝えたい事しかないのに何も声が出なくてごめんね 僕は毒虫になったそんなに興味もないと思うけどさ 時間が惜しいので今度は手紙をしたためるとしようか 不甲斐ない一日を今日も始発の便に乗って 見返すには歩くしかないのに上手く足が出なくてごめんね アベリアが咲いている眼下の街を眺めている 窓の桟の酷く小さな羽虫を掬って押し潰した 初夏の風に靡いた白花が今日も綺麗だった 教科書にさえ載っていない心情は今日が…

  • 着火、カウントダウン – n-buna

    蒼い夜に街は祭りのよう宇宙を跨ぐロケットが今 僕の目の前で一つ形になる形を見せた これで僕も空を飛べると言った八月末の最期に 明日したいことばっか話す僕を、君は空に飛ばしてく ずっとしたいことなんてない今日も死のうとしたままだ 遂に終わってしまった十秒前のさよならで火を付ける きっとしたいことなんてない笑え僕たちオーガスタ―、オーガスタ― 白い花の添えられた手紙そんなものを拾った 「僕は明日、夜祭…

  • 昼青 – n-buna

    メリーグッドバイ メリーグッドバイメリュー、振り返らず聞いてくれよ メリーグッドバイメリュー、今日でもうお終いだから 笑い転げるあなたを見る僕は何かを覚えている 青色に澄んだ空を見るあの魚が征く 気ままに生きても息は尽く雲をずっと眺めている バラードばかりのラジオからまた昨日が聞こえている 爪先が痛いから歩けない僕のままだ海辺の街 昼青い空 鳥居の隅から メリーグッドバイ メリーグッドバイメリュー…

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