水色のハーモニカ – LGYankees presents DJ No.2
オレの大好きだったじいちゃんは
優しい風が吹く墓の中
そっと静かに両手を合わせては
目を閉じて心で話しかける
「最近こんなことがあったよ」
「ちょっと辛いけどオレ頑張るよ」
…いくつになっても ずっと甘えてばっかでごめんね
オレの大好きだったじいちゃんは
色んな事を教えてくれた
泣き虫だったオレによく
「男はキンタマ取られた時だけ泣け」って
「ありがとうはちゃんと言え」って
「悪いと思ったら謝れ」って
大人になって生きる今 大事な事全部…
オレの大好きだったじいちゃんは
すごく上手に吹いたハーモニカ
いつもとっても大事に使ってた
水色の複音ハーモニカ
学校帰りの「おかえり」は
優しい音色の時もあった
部屋から溢れてくるそんな音が好きだった
教えてくれた事をここに刻む…
オレの大好きだったじいちゃんは
アルツハイマーだって言われた
見た事があるそのカタカナは
よくわからないまま進行した
ただ人が変わったようなじいちゃんを
ただただ受け入れられずにいた
ふとした瞬間に 元に戻るんじゃないかって
オレの大好きだったじいちゃんは
オレの顔ゆっくりと忘れていった
「誰だ?」って見る目が怖かった
「オレだよ」って言うのが嫌だった
病院から足が遠のいた
じいちゃんを少し嫌いになってた
…悪くないのにな 全部病気のせいなのにな…
オレの大好きだったじいちゃんは
やがて老人ホームで暮らしてた
体調のいい日はみんなに
ハーモニカを吹いて聴かせた
大きな声で歌を歌った
「いつも楽しませてくれてありがとう」って
じいちゃんの誕生日の色紙には書いてあった
教えくれた事をここに刻む…
オレの大好きだったじいちゃんは
やがて静かにそっと旅立った
「生前の行いが良かったから苦しまずに天国に行けた」って
先生は教えてくれた
ねぇじいちゃん…
お別れを言いにみんなが集まった日も
すげぇ青空だったんだよ
オレの大好きだったじいちゃんは
最後までオレに教えてくれた
オレの顔を忘れても
ハーモニカの吹き方覚えてた
それがオレへの最後の教え
「お前が信じた道を進め」
あの優しい笑顔がよぎる
…上手くないけど 聴いてな… じいちゃん
今日もありがとうって言えたよ
あなたが教えてくれたから
今日もごめんねって言えたよ
あなたが教えてくれたから
出来の悪い俺にやさしく
何度も教えてくれたから…
だけどごめんね…
オレはあい変わらず泣き虫だよ
教えてくれた事ここに刻む…
オレの大好きだったじいちゃんは
恰幅いいデカ鼻のハゲ頭
いつもはちきれそうなその笑顔は
線香の香りに包まれてる
目を閉じて手を合わせた時にいつも思い出す
じいちゃんに愛された 無垢な気持ちが踊り出す