歩き疲れては 夜空と陸との
隙間にもぐり込んで
草に埋もれては寝たのです
所かまわず寝たのです
歩き 疲れては
草に埋もれて寝たのです
歩き疲れ 寝たのですが
眠れないのです
近ごろは眠れない
陸をひいては眠れない
夜空の下では眠れない
ゆり起こされては眠れない
歩き 疲れては
草に埋もれて 寝たのです
歩き疲れ 寝たのですが
眠れないのです
そんな僕の生活の柄が
夏向きなのでしょうか
寝たかと思うと寝たかと思うと
またも冷気にからかわれて
秋は 秋からは
浮浪者のままでは眠れない
歩き疲れては 夜空と陸との
隙間にもぐり込んで
草に埋もれては寝たのです
所かまわず寝たのです
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土曜の流れは街中のいろんな店々からいろんな人間をさらい出し大きな流れを作ります。そして灯の落ちかかった街の中を流れ続けるのです。流れは川底に留まった小石を運びま
毎晩夜通し起きていて僕は何んにもしていやしないのですこの間の晩火吹竹を作ったブー ブー ブー火鉢一杯に真赤な炭が盛れ上がってくる炭はまた直ぐたつてしまいますブー
独りの 暗がりを何処までも 充たす確かな あの光誰にでも いつか 訪れる目に映るすべてが密やかに問いかける囁きあなたに 触れられたこの胸を 鬱ぐ 熱の中身を焦が
トオイ キオクガ カナタニ ネムッテルヨトオイ キオクハ ガラスノ ハヘンカナ?ウツクシイ ヒカリハ スルドイ マナザシマギレモナイ ジジツハ イツモガラスノ
畑も倒され 家も倒されボコボコの道だけが残つている僕は酒に酔って町から帰るのだ何処か遠いところにでも月が出ているんだろう夢のような明るさだ酔ってればこそかな風の
いつの間にか 垣根のところに野バラの花が咲いた。風がふくと 青い繁みのなかでなにやらチラチラささやきあっている。これといって特別のこともなく、ただ咲くことだけで
ボクの後から彼女の靴音が追いかけてくるボクを追いかけてくる(うれしそうに息を切らして)ふとふり返るともう ボクのずーと前の方にいた
赤、青、黄の強い原色の郷愁(ノスタルジヤ)...濡れた燕(つばめ)がツィツィと走る五月の雨空、狭い港町の、ペンキの板囲(いたがこひ)した貧しい古靴店がある。店一
ひび割れた茶碗の隙間に幸せの欠片を詰めましょう向こう側が透けて見える襖に思い出の障子戸 閉めましょう家路へと走る子らの後姿に涙して影法師踏んでみてもあの子は戻ら
七月それは 雨雨の季節いやーな 雨の季節ボクの心に黴を植えつけるボクの心に河をつくるそれは 七月いやーな 雨の季節押し入れから水色のシャツを出しボクはそれを着て
非常に疲れたくおもいまして非常に疲れたくおもいまして朝は真っ赤に充血した眼をこすりながら明けるのです。
明日の朝ぼくは見つけた郵便箱のなかの手紙ただの短かいおなじみの手紙は一ページのながさにも足りなんだそいつはぼくに墓に入った方が死んだ方がいいと内緒話裏をみたなに
くつが一足あったなら わたしも踊りをおどるのにそのくつさえないのに くつさえもないのにふえやたいこをたたいても ただせつなさばかりがますばかりこの世がいやになる
もしもあなたが ひとりでも知らないうちに ふと見れば誰かが一緒に 歩いてる一緒がいちばん あたたかいときには口も きかぬほど腹をたてたり するけれど最後はきっと
夕暮れに あおぎ見る輝く 青空日が暮れて たどるは我が家の 細道狭いながらも 楽しい我が家愛の月影のさすところ恋しい家こそ私の青空
たったいっぺんも悪いことをしなかったアリラン爺さんが病みついた雨の降る日はしがない渡世に理屈をつけろ貧乏くじはどうだい?貧乏くじはどうだい?どこかの後家よどこか
ぼくがこの世にやって来た夜おふくろは めちゃくちゃにうれしがりおやじはうろたえて質屋に走りそれから酒屋をたたきおこしたその酒を 飲み終るやいなやおやじは いっし
東一番丁、ブラザー軒。硝子簾がキラキラ波うち、あたりいちめん氷を噛む音。死んだおやじが入って来る。死んだ妹をつれて氷水喰べに、ぼくのわきへ。色あせたメリンスの着
知ってますかこの春 わたしの岡に模様のようにやって来て呼びもしないのにやって来て室に向かいその模倣をひろげ そしてそのあと深く頭を垂れて死んでいった向日葵たちを
北から南からいろんな人が毎日家をはなれ 夜汽車にゆられはるばると東京までくるという田んぼからはい出 飯場を流れ豊作を夢みて来たがドッコイ!そうは問屋がおろさない