高橋優

終焉のディープキス – 高橋優

世界の終末が描かれた映画を観に行った
制作費うん十億 構想うん十年 監督誰それの
CGも新人も見応えがあって悪くなかった
腑に落ちないエンディング以外何度か泣きそうにもなった

隣に座っていた男女 笑って話してた
「あんなに切羽詰まった場面で
どうして長々kissしたりHしたりが必要なんだろうね?」

僕たちが探し求めてるもんは
愛し合える絆ってやつか? それが引き裂かれる快楽か?
いつでも安心していたいんだ でもそれだけじゃつまらないんだ
火傷していたいのさ 終末にDeepkissさしてくれる相手は何処にいる?

映画館を出て渋谷の街に繰り出した
車にヘリコプター コマーシャルビジョンにギャルの爆笑
「居酒屋いかがっすか~?」としきりに声かける兄ちゃんの
瞳ん中に映る孤独に胸が締め付けられていたのさ

無理のあるハッピーエンドが 寂しさを募らせた
さっきの映画とこの街の空虚感が類似していて
僕は不意に誰か抱きしめたくなった

あなた方が観てみたかったもんは
築き上げられる感動か? それがぶち壊される快感か?
誰もが愛されていたいんだ でもそれだけじゃ退屈なんだ
だから裏切るのさ 明日世界が終わるなら今夜何食べる?

ありふれてる風景が覆るような 逢引だったり隕石だったり
ときめき欲しがり無い物ねだり

僕たちが辿り着きたい場所は
愛し合える人の楽園か? それがぶち壊される戦場か?
誰もが愛を探しながら どんでん返しのオチみたいな 結末が観たいのさ
終末にDeepkissさしてくれる相手は
何処で僕らを待ち受けてるのはどういうエンディング?

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