香山みどり

母しぐれ – 香山みどり

お腹痛めた 愛し子を
憎くて手放す 親はない
悔いているはずいまだって
どんなに月日 経とうとも
すすり泣くよに 降る雨は
私の目には 母しぐれ

いいえ他人の 空似だと
言い切る口許 震えてた
うわさ尋ねた 居酒屋の
女将の頬の 泣きぼくろ
紺の暖簾を 濡らしてた
あの夜の雨も 母しぐれ

わが子見捨てた その罪の
罰なら充分 受けたはず
恨み忘れて 老いた身の
しあわせ祈る 宮参り
親子なりゃこそ 届いたか
涙のような 母しぐれ

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北陸本線 – 香山みどり

海がうなれば カモメが吠える波は岩場を かきむしる身を切るような 凍てつく風が髪を乱して 巻きあげるあなたどこにも 行かないで私を置いて 行かないで北陸本線 胸

酒なさけ – 香山みどり

こぼす涙は 隠せても胸の辛さは 隠せない酒よ お酒よ ねぇお酒逢わせておくれ あの人に女ごころを 知りもせずやがて暦も ふたまわりいつもしあわせ 探す度なぜか不

縁歌駅 – 香山みどり

女ひとすじ 命をかけてあなた見つめて 肩よせてこころ細さと ときめく夢が涙でとけ合う 終列車愛の旅立 愛の旅立 縁歌駅窓をかすめて 過ぎ去る灯り弱い迷いも 消え

母娘舟 – 香山みどり

男親には なれないけれど手さぐり育てて 早五年可愛い笑顔が 心の支え明日をつなぐ 命綱ふたりぼっちで 世間の川を漕いで漕いで 漕いで行きます母娘舟意地を張っても

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