鏡五郎
-
土佐の男 – 鏡五郎
月のヨサコイ 桂浜(かつらはま)坂本龍馬が 睨(にら)んどる浜の砂粒 握りしめ投げれば波間に 明日(あした)が見える俺も負けて なるもんかしっかりせいよと 叫ぶよ波が 風よ吹け吹け 嵐来い足摺岬は 動かんぞ赤い椿の 花を抱き真白い燈台 胸張る空へ俺も負けて なるもんか男のこの夢 結んでみせる しぶき荒波 どんと来(こ)い男は度胸で 受けとめる土佐のいごっそ 荒削(あらけず)り情けに泣いても 根性に…
-
昭和川 – 鏡五郎
苦労と我慢を 水面(みなも)に浮かべ流れ流れた 昭和川耐えて一生 生き切った紅も差さない おふくろは幸せだったか お天道(てんと)さまよ 男が泣いては 恥だと言われじっと見つめた 昭和川甘い夢など 水底(みなぞこ)に投げて沈めて あきらめた誰もがそうして 生きてた時代さ 変わってゆく世に 戸惑いながらどこへ消えゆく 昭和川もっと気楽に 生きてみろ風が耳元 吹きすぎる昭和の終わりを 愛しむように 人…
-
男富士 – 鏡五郎
富士のお山と 約束したぜ俺もなるんだ 日本(にっぽん)一に骨が折れよと 身が裂かれよと放すもんかよ この夢は峰の白雪 光り輝く 男富士 胸をたたけば ホコリもでるが嘘や遊びで 女は抱かぬ惚れたおまえを しっかり守り明日(あす)はこの手で 春を呼ぶ夕陽真っ赤に 命燃え立つ 男富士 雪は流れて 大河となって人はもまれて 希望(のぞみ)を咲かす腹で泣いても 弱音は吐かぬいつか大きな 鷹(たか)になる雄姿…
-
悲しい女 – 鏡五郎
女ひとりの みれん酒悲しい過去の 思い出よどこにいるのよ ねえあなたこころの涙が しくしくとそんな女の そんな女の しのび泣き 女ひとりの 忘れ酒男のあんたにゃ わかるまいそっとしずかに 身をよせて生きる灯(あか)りを ゆらゆらとそんな女の そんな女の ひとりごと 女ひとりの なみだ酒あの日の倖せ また浮かぶ罪な恋だと わかってもお酒飲むたび ほろほろとそんな女の そんな女の 酔みれん 人気の新着…
-
八尾・風の盆 – 鏡五郎
飛騨の山あい 坂の町土手に飛びかう 夕蛍(ゆうぼたる)逢えば帯解く 間ももどかしい三味(しゃみ)の音(ね) 衣擦(きぬず)れ 窓の月戻れなくても いいのかえ八尾(やつお)遣(や)るせぬ 風の盆 おまえ忘れる 暇がないおわら恋しい 夢ばかり命かけても うばえぬ女(ひと)よ死ぬときゃ一緒と 云うけれどわるい女で いいのかえ三味の棹より 身が細る 誰か不幸に 落としても恋の成就(じょうじゅ)は 叶わない…
-
男の風雪 – 鏡五郎
逆(さか)ろうなさだめ受けとめ 旅ゆけば佐渡も弥彦も 風と雪おけさ袈裟懸(けさが)け 三味線(しゃみ)を抱き寒(さぶ)や寒(さぶ)やで 峠をこえたすきま風吹く 仮の宿 風を追い風に追われて 幾歳(いくとせ)か親の顔さえ 遥かなり春にゃ桜が 咲き誇る秋にゃ芒(すすき)も 招いてくれるこころ晴れる日 いつじゃやら しんしんと雪の降る夜 あつあつの豆腐おどらせ 鍋を食うそんな一夜の あの女(ひと)が終(…
-
戸田の渡し – 鏡五郎
日本橋から 中山道を下ればそこは 荒川土手に江戸の未練を 川面(かわも)にすてて蕨宿(わらびじゅく)から 木曽(きそ)街道へ上野(こうづけ)信濃(しなの) 美濃山(みのやま)越えて江戸が恋しや 渡しの舟が戸田の渡し… 戸田の渡し… 神奈川沖(かながわおき)の 磯浪(いそなみ)がしら北斎(ほくさい) 富嶽(ふがく) 三十六景富士の背中が 夕陽で染まる駿河(するが)遠江(とおとうみ) 遠州灘(えんしゅ…
-
長良川舟唄 – 鏡五郎
流れゆく 川の水面(みなも)に降っては消える 細雪夏の鵜飼いの しあわせが噂ひとつで 壊れるなんて知らなきゃよかった 恋の裏舟唄聞こえる 長良川 かがり火を 水に映(うつ)してふたりが燃えた 夢一夜(ひとよ)死ぬの生きるの 嘆(なげ)く日を誰がわかって いたのでしょうか愛(いと)しさ憎(にく)さの 旅の宿夜更けて木立(こだち)の 蝉しぐれ 夏帯(なつおび)を すすり泣かせて解(ほど)いたあなた 水…
-
五郎の人生百年桜 – 鏡五郎
若いあの日が 過ぎたってすべて終わりと 嘆(なげ)かない今は人生 百年時代ひと桜(はな) ふた桜(はな) 咲かす気あればぐんと湧(わ)き出る 愛がある喜び分けあい みんなで咲かす人生百年 百年桜 手と手つなげば 艶(つや)が出る無駄にならない その笑顔今は人生 百年時代ひと桜(はな) ふた桜(はな) 咲かす気あればぐんと湧き出る 愛がある元気で長生き 寄り添いながら人生百年 百年桜 昭和 平成 生…
-
大阪箕面しのび恋 – 鏡五郎
小川のせせらぎ 静けさは沈んだ心も いやされる新緑(みどり)が芽を吹く もみじ谷あなたに命を あずけた私どうすりゃいゝのよ 教えてよ滝も見つめる 大阪箕面しのび恋 小鳥のさえずる 滝路(たきみち)を見上げてたゝずむ 山桜あなたの温(ぬく)もり 優しさにこのまゝ抱かれて 夢ではないとどうすりゃいゝのよ せつなさを滝もほろりと 大阪箕面しのび恋 紅葉(もみじ)の照葉(てりは)が 朱に染まるこの坂登れば…