藤田一路

  • 手取川 – 藤田一路

    「何がなくても お前がいれば」そんな言葉が 身に染みて耐える苦労の 楽しさを教えてくれた あなたはいない卯月 花月 手取川帰ってお願い 加賀の地は愛を点した 故郷でしょう涙こらえて 桜舞う 「お前死んだら 生きてはゆけぬ」そんなつぶやき ほだされて抱かれて染めた この肌の炎も消せず あなたを待つの葉月 萩月 手取川帰ってお願い 加賀の地は愛を育てた 故郷でしょう涙たたえた 螢舞う 「助け舟だよ お…

  • 蜃気楼の宿 – 藤田一路

    酸いも甘いも 噛みわけた嘘よそんな 大人じゃないわ恋の焚火を 消し忘れ乱れるままに 流される途切れ途切れの ふたり旅今宵の宿も 蜃気楼 砂を咬むよな 苦しみをそうよ好きで してるんだもの今じゃ戻れぬ 崖っぷち日照り不足の うらなりね迷いながらの ふたり旅今宵の宿も 蜃気楼 命がけだと 言われても駄目よお家 こわしちゃ駄目よつらい恋路の 花筵バカなわたしを 責めないで人目忍んだ ふたり旅今宵の宿も …

  • みもざの女 – 藤田一路

    上着の裾を はぐれぬようにつかまりついて 来る子のようなお前のいとしさ 胸から消えぬまるで夢追い人の花みもざの化身か 面影をひとりまさぐり 忍び酒 俺を迎える 寝化粧なんかせずとも素顔 きれいなお前どこから歯車 狂ったのだろ訳けも言わずに 去るなんてみもざの吹雪に まかれたかさがしあぐねて 迷い酒 お前の心の 哀しい小箱おろかにあけて たたずむだけの無器用男が いやになったか悔やんだ涙の差し水をみ…

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