若者と娘はひと目で恋をした
花の匂いただよう春の宵の小道
娘は目を伏せて若者の車へ
やがて恋人たちはビロードの海辺へ
宝石を散りばめた薄絹の夜の中で
この世の始めから約束をしていた
天使たちのように清らかな恋を
或る日若者は花が散るように
ひと雫(しずく)の涙を残して死んだ
貧しい娘は一輪のつぼみを
海の見える墓へさみしくそなえて
青空にかきならす立琴のように
いつまでも泣いてた
短かったけれど真実だった恋の美しい唄を
ある悪者が娘を欲しがって
ダイヤでしばりあげ親達も承知
荒波に娘は泣き疲れた足を
想い出の小道へさまようその時
突然に若者の車が現われて
娘を乗せて消えた天国への道へ
あとには若者と娘のかたみのダイヤとナイフが
星の露のように想い出の小道で
キラキラ輝いてた
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