美貴じゅん子

  • 水の炎 – 美貴じゅん子

    約束なんて もらわなくてもいいのよ二人 寄り添いあえばあなたの寝息 一時間でも感じていれば 幸せだからどんなに愛しても 報われない愛は涙の水の底 炎になるのです誰にも知られずに 心に閉じ込めて涙の水の底 静かに燃えながら 激しい恋は あこがれるけど壊れてしまう 明日が怖いあなたの指に つかまりながら行くあてもなく 流れて行くのどんなに愛しても 報われない愛は涙の水の底 炎になるのです夢見ることより…

  • 放浪かもめ – 美貴じゅん子

    日暮れ海鳴り 聞きながらお酌する手も なれました流れ女の 身の上をあれこれ聞かれて はぐらかし「かもめ」と言う名の 仇名(あだな)をもらい港はずれで 空騒(からさわ)ぎ 酔いにまかせた 口説きでもどこかうれしい 朱(あか)い頬みんないい人 ばっかりでどなたのものにも なれないと「かもめ」は陽気に すいすい渡り暖簾しまえば ひとりきり 出船入船 盛り場は恋も一夜の ものがたり胸に眠った はずなのに夜…

  • 雪の海 – 美貴じゅん子

    飛沫(しぶき)あげる 雪の海滾(たぎ)る 吠える 叩くやせた女が 独り立ち尽くすあなたを捨てて 自分を捨ててふぞろいの恋 断ち切れるならああ このまま雪になって海に 沈んでしまいたい 星も見えぬ 凍る海寄せる 弄(なぶ)る 刺さる流れ女が 辿り着いた場所過去(きのう)を捨てて 明日を捨てて人知れずただ 泣いていいならああ このまま雪を抱いて独り 凍えてしまいたい あなたを捨てて 自分を捨ててふぞろ…

  • 桜色のオ・ヴォワ – 美貴じゅん子

    サテン纏う夕映えに 誘(いざな)われた 長い影私のタブリエを着て 絵を描くあなたへと今は胸の中で 手を振るのよ恋の花は 枯れて オ・ヴォワ 桜色に暮れる街 ゆくあてなき まぼろしよ星のみえる丘のもと ほほえんでるあなた今は夢の中で 語らうだけ二人が暮らした 部屋に オ・ヴォワ 恋の月はすみれ色 みちびかれた 絵の二人はじまりの駅に降りて あなたもそこにいたいまは時の中で 見つめるだけ新しい夜明け …

  • 風にさそわれて – 美貴じゅん子

    北風 氷雪 広がる荒野に生れながらの阿呆一筋むずかしい事は あとまわしやれるものから やればよし風にさそわれ 人に流されていい事 欲しけりゃ まわり道 流氷 寒流 しばれる海原思いどおりにならぬ この世に父親(おやじ)の教えは ただひとつ損を承知の徳をつめ月の灯りに 見えることもある最後に 拾える こともある 風にさそわれ 人に流されていい事 欲しけりゃ まわり道 いい事 欲しけりゃ まわり道 人…

  • 土下座 – 美貴じゅん子

    愛した人に 土下座したことがありますか海の壁 潮が鳴る 冬の砂漠身をちぎる 別れの中で泣いたことない人は いますか挫けそうになっても 死にません生きることに 必死だから 愛した人に 土下座したことがありますか雪が舞う 風を切る 北の大地一握の 望みにかける夢を持たない人は いますか挫けそうになっても 死にません生きることに 必死だから 愛した人に 土下座したことがありますか黒い空 闇に咲く 花の香…

  • 潮騒 – 美貴じゅん子

    愛するたびに 遠ざかるあなたの心が わからない東京離れ 瀬戸の町墨絵のような 日暮れですあゝ海鳴りよ あゝ潮騒よこの恋終わりますか…それとも続きますか…女はいつもー愛を言葉で愛をしぐさで 感じていたくて… 我侭いって 困らせた私のせいなら 直します可愛くそばに いたいのと鴎にそっと つぶやいたあゝ海鳴りよ あゝ潮騒よこの恋叶いますか…幸せつかめますか…あなたに今はー胸の迷いを胸のなみだを 叱って欲…

  • ほおずき – 美貴じゅん子

    あなたの真似して 鬼灯に唇触れたら 悲しくて熱い吐息に 誘われながら炎えて何度も 抱かれたあの夜… ヒュルル・ヒュルリ・ヒュララ鬼灯鳴らしたらヒュルル・ヒュルリ・ヒュララあなたが欲しい悔やみはしません 愛したことは月も十六夜 涙揺れます 夜ふけに鬼灯 噛み切れば素肌に広がる ほろ苦さ甘いあなたの 移り香さえも今は見知らぬ 誰かのものです… ヒュルル・ヒュルリ・ヒュララ鬼灯 鳴らしてもヒュルル・ヒュ…

  • 咲いて花になる – 美貴じゅん子

    飲んで私を 困らす人も眠りゃ子供の 顔になる惚れて女 燃えて女 ひとすじに尽くしきれたら 尽くしきれたらそれでいい広い世間の かたすみでそばに寄り添い 咲いて花になる 髪を切ったら 気づいてくれるそんな優しさ あればいい惚れて女 燃えて女 この人の悪い噂は 悪い噂は 聞き流す今の幸せ かみしめて情けひと色 咲いて花になる いつも男は 心の隅で別れ言葉を かくしてる惚れて女 燃えて女 つらくても未練…

  • 姫折鶴 – 美貴じゅん子

    あなたが残した 姫折鶴を解けば悲しい 華になる紅い千代紙 情念をこめて折ればあなたに 逢えますかひとつ恋しい ひとつ淋しい飛ばすあてない 恋の鶴 抱かれたその手が 優しい声が今もわたしを 熱くする指の先まで 好きだと云った夢に縋って 夢を見るひとつ恋しい ひとつ切ないなみだ果てない 恋の鶴 あなたにはぐれた 姫折鶴のいのち愛しい 夜の窓明日を信じて 生きてくことを願うあなたの 声がするひとつ恋しい…

Back to top button