篠路佳子

  • 泣いて港町 – 篠路佳子

    想い出ばかりで 荷物が重たい心細くて つまずきそうね他人の笑顔が つらい朝いつも似合いの 雨が降るブルーブルー・レイニー絵に描いたような 不仕合わせだって浮気な 船が出る気がつけば 玩具みたいな恋ね泣いて泣いて港は はしり雨 この世でいちばん 愛していたから欲しいものなら なんでもあげたたったひと冬 越せないで独りぼっちで 服を着るブルーブルー・レイニー絵に描いたような 鉢合わせわるい夢でも 見て…

  • 夢待ち酒場 – 篠路佳子

    あきらめました あなたのことはあとはお酒に まかせます男のずるさを 泣いてうらむよりやさしさ少しを みちづれに生きてゆけます 夢待ち酒場 遊びにあきて 帰ってこいとばかなおんなの ひとり言迷い子で宿なし あなた何処にいる死にたくなるよな とまり木は明かるすぎます 夢待ち酒場 似たもの同士で この指とまれせめて酔わせて 淋しさを明日のことなら あすの酒まかせいい日もあるでしょ 春もくる花は浮草 夢待…

  • 潮騒夜曲 – 篠路佳子

    あの船は…式根通いか 新島行きか汽笛が尾を曳く 夜の海まるで昔(あのひ)の 私のように誰も送って 貰えぬ女(ひと)が独りしょんぼり タラップ登る 月明り…遠い記憶の 波間を抜けて私を呼んでいる 爪木崎(つめきざき)冬に負けない あの水仙の花になれよと 諭してくれた母が恋しい 灯台岬 人生は…波と同じね 小さい波の節目に大きな 波が来る夜の白浜 おもいで渚裾をからげて 唄えば濡れる女ごころの 潮騒夜…

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