真木不二夫
泪の夜汽車 – 真木不二夫
暗いシートで 肩よせ合(お)うて
むすぶ假寝(かりね)は せつないものよ
恋のためなら 都も夢も
すてゝわびしい 故郷へ帰る
心もとない 泪の夜汽車
むせぶ汽笛に 想いはみだれ
にじむ灯影は かなしいものよ
故郷(くに)へ着いたら やさしい母に
なんと話そか おまえのことを
明日が気になる 泪の夜汽車
ぼくにゃ故郷(こきょう)も おまえにゃ他国
たよりなかろよ 淋しかろうよ
夢で泣いてか 二(ふた)すじ三(み)すじ
白い寝顔に ながれる涙
つのる夜嵐 泪の夜汽車