生稲晃子

夕映えの橋 – 生稲晃子

家路急ぐ人が
私鉄電車に乗り換える
ラッシュアワーの駅で
心が 懐しい痛みに凍った

俯いて歩く癖も昔と
あなたは少しも変わらないね

声にならない切なさだけが
ホームを走り
人波を分けて
あなたの後をついてく

同じ川に架かる
二つの夕映えの橋を
やがて二人を乗せた列車が
渡るわ 違った街へと

あの部屋で今も暮しているの?
どんな子に夢を話しているの?

知らない事が増えてくことが
さよならなのね…
泣き出さぬように
本の頁を開いた

同じホームで別の列車を
待っていたのね
運命にそっと目隠しされ

今も二つの影が並んで
腕を組んでる…
夕闇に煙る
青春っていうホームで

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