澤田知可子
遠く – 澤田知可子
泣かずに眠った 朝の窓を開ける
涙はもう 流れ切ったのかも
思っていたよりも 早くたどりついた場所で
薄れる痛みを まだ引き止めたくて
遠くまた遠く あなたが心から消えてゆく
楽になってく それがなんで こんなに悲しい
痛みなくしたら 恋はほんとに終わってしまう
忘れたくない 泣いていたい 今だけあなたの中で
いつものように 仕事に向かったり
他愛ないこと 誰かと話したり
穏やかな幸せ それできっと生きて行ける
孤独も私の一部になってゆく
ひとつまたひとつ 思い出 この手からこぼれてく
あなたはきっと 振り向かずに どこかを歩いて
私ひとりだけ 離せずに抱きしめてきた日々
過去になってく その手前で 時間を止めたい そっと
あの日がいつか 胸の底に
沈み 透明な結晶になる
跡形もなく 色あせても 私の中にはあるの きっと
遠くまた遠く あなたが心から消えてゆく
楽になってく それがなんで こんなに悲しい
痛みなくしたら 恋はほんとに終わってしまう
忘れるのかな いつか全部 あんなに愛した日々も