清水たま希

花供養 – 清水たま希

「分かりますとも ひと目みて
娘さんだと 貴女のことは」
この日は母の 花供養
そっと微笑む そのひとの
肩のむこうに 揺れる花
来てくれましたよ お母さん

季節はずれに この花を
母に手向ける 優しさ深さ
その花 母の 好きな花
ひとり通して また守り
生きた母にも あった春
小さな誇りよ お母さん

坂を下りてく そのひとの
うしろ姿に 舞う花びらよ
私もやがて 母になる
同じこの道 辿っても
そうよしません 後悔は
しあわせでしたね お母さん お母さん

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こぼれ灯 – 清水たま希

ついて来るかと あなたが微笑う見つめ返した 瞳がぬれるまわり道にも 花はあるそんな生き方 したくってこぼれ灯 こぼれ灯…拾う小さな 春の音いつも気後れ 戸惑いば

儚な酒 – 清水たま希

何がしあわせ 不しあわせうんとあるのね 人の世はグラスゆらせば 立つ波もしょせん硝子の 中のこと思い出させて 夜がゆくみんなうたかた 儚な酒一つ二つは 誰もある

花咲小路 – 清水たま希

お店の提灯 ポツポツと並んで灯ともす その様はハモニカみたいな 口をして浮世の嘆きの 笛を吹く飲みましょう 忘れましょうとくとく徳利 人の徳飲みましょう 忘れま

港の走り傘 – 清水たま希

いつも港は 出船の匂い昔ここにも いたと云う海に縁ある 人だものそこはもう賭け 最後の賭けとあなた名前の 灯をともし帰り船待つ 浜酒場手もち無沙汰に 海鳴り聴い

夕月の花 – 清水たま希

しあわせに なる為の今はまだ まわり道あなたの励まし あればこそ幾坂 この坂 越えた坂生きるに下手な 私でもあなたに寄り添い 生きたいのついてゆきます 夕月の花

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