浅田あつこ

  • 伝えたくて – 浅田あつこ

    港町 光る海 坂の道潮風に 揺れていた ダリアの赤幼い頃のおもいではモザイクのようですけれど母さんとつないだ手のぬくもりだけは忘れないあゝ逢えないあなたに逢いたくて今も心が待ちぼうけあのね わたし 伝えたくて嫁いで五年 やっとですこの初秋(あき) 母になりましたあなたに娘を あなたに娘を 見せたくて 遠い夏 早すぎるさよならをすすり泣く 蝉しぐれ お寺の庭幼い頃のおもいでは陽炎のようですけれど母さ…

  • 柳橋ボレロ – 浅田あつこ

    柳の下でばったりと芸者と芸者の立ち話目くらましだよ よく見れば役者と芸者の恋姿あゝ女だ男だうるさいねぇ大した変わりがあるじゃなし知らぬふりして飛んで行く闇のカラスの粋なこと あっている間はいいけれどわかれりゃ 悋気(りんき)の気がもめるといてほどいて結びあう役者と芸者の帯の川あゝ女だ男だうるさいねぇひとつになりたいふたりなら唐変木(とうへんぼく)だよ お月様泣いて分かれる柳橋 好いて好かれて命惚れ…

  • 京紅 – 浅田あつこ

    枕の下を 泣きながら水が流れる 高瀬川眠るあなたに 背を向けてああ 京紅(きょうべに)でわかれ化粧の 紅を引く格子造りの 名残り宿 想い出づくり 鞍馬(くらま)まで足を伸ばした 北嵯峨(きたさが)もほんの短い 旅だけどああ しあわせな夢を見ました 私なり欲を言ったら つらくなる 女の恋の なきがらを流す夜明けの 高瀬川みらん一緒に 捨てたのにああ 京紅(きょうべに)の紅がなみだで また落ちるうしろ…

  • タイガース音頭 – 浅田あつこ

    負ける巨人に男の情け かけてやりたい助けてみたいそいつが出来ない勝負のつらさ俺の 俺の 俺の心で 無情の虎が情け無用と吠えるのさ勝った 勝った 勝った 勝った阪神 阪神タイガース 鯉に鯨につばめよ竜よ みんなまとめてめんどうみよう相手がいるのが野球の定め覚悟 覚悟 覚悟しておけ 牙むく虎の今日の餌食は何処の誰勝った 勝った 勝った 勝った阪神 阪神タイガース 忠治 次郎長 このタイガース 縞のカッ…

  • 道行き – 浅田あつこ

    あんたが死ぬと云うたかて私(うち)は死なへん 死んだりせんでこの世で出来た苦(く)の種を何であの世へ持って行く今宵 無月(むげつ)を幸いに堀江を抜けましょ 二人して どなたが生んでくれたのか盥(たらい)渡しで里子に出され親御の情け知らぬ身がやっと見つけた真心(まごころ)や難波 阿倍野を走り抜け南を目指す 泉州路 やたけた 阿呆(あほ)と謗(そし)られて気にもならへん 泣いたりせんわ噂になれば御の字…

  • でっかい男の女房 – 浅田あつこ

    志 遂げねばならぬ親父の背中 憧れ追った木の葉みたいな 小ちゃな船で海を渡った少年の来し方 瞼にうかんでみえる 一角(ひとかど)の男になると勢い込んで謗(そし)りも受けた悔いの涙を誰にも見せず押しの一手で来た男ドンだと呼ばれた あんたに惚れた 人道(じんどう)は守らにゃならぬ外しちゃ きっと残るよ悔いがあなたこれから坂道峠うちが手を引く 背(せな)を押す出直しましょう 大手(おおで)を振って 人気…

  • 西成の櫻 – 浅田あつこ

    朝目が覚めると 聞こえてくるよ馴染んだ街の 鳩のうたおもむろに空を 見上げてみればさくら さくら お前のように俺もなりたい 西成の櫻(はな) 今さらどうして 思い出すのかあの日に捨てた ふるさとを古ぼけた靴を 磨いてやればさくら さくら お前のように俺もなれるか 西成の櫻(はな) はかなく落ちても 夜寒に耐えてなみだを見せぬ 艶やかさめぐり来る春を 教えてくれたさくら さくら お前のように俺もなる…

  • 海峡雪しぐれ – 浅田あつこ

    愛しさ憎さ 寄せては返すおんな心の 凪嵐(なぎあらし)さよなら あなた あなたさようなら慕情(おもい)断ち切る 旅路の岬恋の傷みも 昨日の夢も白い花びら 海峡雪しぐれ 想い出ちぎり 波間に投げりゃ汐風(かぜ)にみれんが 舞い上がる忘れたいのに いいえ忘れない後ろ髪ひく 面影笑顔あなた叱って 馬鹿だと云って胸に降る降る 海峡雪しぐれ きりりと命 翻(はばた)きながら北の空ゆく 海鳥よ別れたくない た…

  • 河内のワルツ – 浅田あつこ

    肩の力を 抜いたらどやさ朝まで話を 聴いてやるグチ言うて ホラ吹いて騙されて クダ巻いてそんなおまえが 暮らしていける河内のワルツ どんな憂き目を 見たのかしらん河内のことばで 話してみドヤされて 小突かれて心まで ズタズタに悔しかったろ 辛かったやろ涙のワルツ 河内そだちに 染みついている頼まれビンボの お人好し愛されて 託されて命まで 預けられ男冥利に とことん尽きる河内のワルツ 人気の新着歌…

  • 米原の雪 – 浅田あつこ

    あなたに逢いたい それだけなのに車窓(まど)に振りつく 白い影託(たく)すしかない レールの上で暗い予感は どうして当たる降り止んで 積もらないで願っても ああ祈っても逸(はや)る気持ちを 諫(いさ)めるような三河安城 米原の雪 世間の噂は どうでもいいの揺れるあなたが 怖いだけ霞む残り香 弄(まさぐ)りながら伊吹颪(いぶきおろし)は 髪まで凍る降る雪よ 落ちる雪よ心まで ああ染めないで旅はおんな…

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