木村徹二

  • 雨の慕情 – 木村徹二

    心が忘れたあのひとも膝が重さを覚えてる長い月日の膝まくら煙草プカリとふかしてた憎い 恋しい 憎い 恋しいめぐりめぐって 今は恋しい雨々ふれふれ もっとふれ私のいい人つれて来い雨々ふれふれ もっとふれ私のいい人つれて来い 一人で覚えた手料理をなぜか味見がさせたくてすきまだらけのテーブルを皿でうずめている私きらい 逢いたい きらい 逢いたいくもり空なら いつも逢いたい雨々ふれふれ もっとふれ私のいい人…

  • 酒と泪と男と女 – 木村徹二

    忘れてしまいたい事やどうしようもない寂しさに包まれた時に男は酒を飲むのでしょう飲んで飲んで飲まれて飲んで飲んで飲み潰れて寝むるまで飲んでやがて男は静かに寝むるのでしょう 忘れてしまいたい事やどうしようもない悲しさに包まれた時に女は泪みせるのでしょう泣いて泣いて一人泣いて泣いて泣きつかれて寝むるまで泣いてやがて女は静かに寝むるのでしょう 又ひとつ女の方が偉く思えてきた又ひとつ男のずるさが見えてきたお…

  • 熱き心に – 木村徹二

    北国の旅の空流れる雲 はるか時に 人恋しく くちびるに ふれもせず別れた女(ひと) いずこ胸は 焦(こ)がれるまま 熱き心に 時よもどれなつかしい想い つれてもどれよ あゝ 春には 花咲く日があゝ 夏には 星降る日が夢を誘う愛を語る 熱き心に きみを重ね夜の更けるままに 想いつのらせ あゝ 秋には 色ずく日があゝ 冬には 真白な日が胸を叩く歌を歌う 歌を オーロラの空の下夢追い人 ひとり風の姿に似…

  • 鯱 – 木村徹二

    鯱(しゃち)って奴は 自分よりでっかい獲物に 喰らいつくそんな男に なれやと親爺肩の寒さに 夢かと醒(さ)めりゃ汽車は三陸 霧の朝ネオンに咲いた 月見草哀しい女を また泣かせ北の海へと 流れる俺さ 竜飛岬(たっぴみさき) さびれ宿厄介かけるぜ 二、三日時化る港で 酒飲む男歌もなければ 言葉もないがやけに拳が 熱くなる捨てたらいやと しがみつく愛しい女に けりつけて潮の匂いに さすらう俺さ 鯱(しゃ…

  • 湯呑み酒 – 木村徹二

    父とも違う 手のぬくもりで頭を撫でて 無口に笑う 湯呑みに酒を 注いであげると大袈裟なほど 美味そうに呑む 寂しいけど時は過ぎ人は老いるものさそれでも変わらぬものが笑顔の奥にある また会いたくなったんだ故郷訛りの愛に 今も変わらず 同じ湯呑みで酒じゃないけど 茶を飲むらしい 悲しいけど思い出を忘れながら生きるそれでも忘れられない笑顔が胸にある また会いたくなったんだ故郷訛りの愛に 試しに真似てみた…

  • 忘らりょか – 木村徹二

    別れは突然にくるものさ最後の言葉さえ言えぬまま 蝉の時雨の風にこだまする 「悔いだけ残さずにお前の道をゆけ」胸に染み入る友の声あの夏の夕暮れが今も忘らりょか 涙に暮れていた日もあれば酒に溺れてる夜もある けれどアイツはこんな俺を見て 喜びゃしないよな前見て生きなきゃな若者どもが夢の跡あの夏の面影が今も忘らりょか 別れがありてこそ旅となる交わした約束がそこにある 夏の終わりに浮かぶ雲を見て 「ここま…

  • 雪唄 – 木村徹二

    雪が舞う 夢が散る過ちひとつで失う傷つけた 人もいる罪の深さを知る 宙(そら)は嘲笑いもせずに明日を与えてくれるそれは救いか償いか吐いた息を見上げて 雪が心を染める「何度でもやり直せるさ」と悔いる命があれば白く白く白く生きられる 宵闇に 浮かぶ月季節の風が身を洗う捨てる神 拾う神いずれも神は神 全てのことに意味があり罪も傷も苦汁も夜は誰かの昼であり今日が明日へと続く 月が心を照らす「遅すぎることな…

  • 湯の街 – 木村徹二

    「苦労かけたね」ポツリと呟けば「何よ急に」と互いに照れ隠し いつも腹にはあるけれど言葉足らずの俺だから ここは湯の街季節が香る宿広縁に浴衣で腰掛けて同じ窓の外眺めた冬景色 若い頃には気づけなかったのさ優しさこそが男の強さだと 昔話に愚痴添えりゃ酒の肴にちょうどいい ここは湯の街歴史が香る宿茶羽織の袖口手で押さえ注いでくれた酒続けて注ぎ返す ここは湯の街季節が香る宿広縁に浴衣で腰掛けて同じ窓の外眺め…

  • 津軽恋女 – 木村徹二

    津軽の海よ竜飛岬は 吹雪に凍えるよ日毎 夜毎 海鳴りばかり愚図る女の 泣く声か津軽の女よ別れうたひとつ くちずさむにごり酒に想い出浮かべかじかむこころの 空を見る 降りつもる雪 雪 雪 また雪よ津軽には七つの 雪が降るとかこな雪 つぶ雪 わた雪 ざらめ雪みず雪 かた雪 春待つ氷雪 津軽の女よ枕乱して 引き込む恋女愛に生きて夢に生きて白いかげろう 空に舞う 津軽の女よねぶた祭りの ゆきずり たわむれ…

  • 北の旅人 – 木村徹二

    たどりついたら 岬のはずれ赤い灯が点く ぽつりとひとついまでもあなたを 待ってるといとしいおまえの 呼ぶ声が俺の背中で 潮風(かぜ)になる夜の釧路は 雨になるだろう ふるい酒場で 噂をきいた窓のむこうは 木枯まじり半年まえまで 居たという泣きぐせ 酒ぐせ 涙ぐせどこへ去(い)ったか 細い影夜の函館 霧がつらすぎる 空でちぎれる あの汽笛さえ泣いて別れる さい果て港いちどはこの手に 抱きしめて泣かせ…

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