月詠み
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それを僕らは神様と呼ぶ – 月詠み
月が陰る夜に夢が醒める白む景色に咲く赤い花何一つ変えられないままそうして生きていたことさえ消える 幸せとはどんなものだろうかとか考えもしないことが幸せだったのかな生きることに慣れることはないのにいつか終わることを拒んでいるんだ ここで芽生えてここで散るだけの地上の塵のひとひら 愛を未来を命を希望を恵みを夢を解を願いをそれを僕らは神様と呼ぶ 何一つ正せやしないどうしたって誰も救えないそれを僕らは神様…
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心燃ゆ – 月詠み
身体が 意思が 心がどれもこれもが邪魔な気がしたそう、たったの3秒あまり敢え無く爆ぜる命 こうだったら、だとか実のない望みなんかでまだ歩いているの雑多な瓦礫の街を一人で駆けていく たるらりらったったるららまた舞った花びら絡まったいばらがさながら箍と化した 神様 どうか どうか何もかも全て忘れさせて明日を迎えさせてまた馬鹿を見る そんなのわかってるけど もういっそ全部全部消えてしまえとか願うやつが消…
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夜明けのラズリ – 月詠み
夏の日暮れと 風に靡く長髪と街を望む柵の向こう僕はこの世の終わりを見ていた どこにでもある物語にならぬ日々だけどそれだけでいいよ悲劇は作り話だけでいい 凪いでしまったあなたが朧になったなのに胸は痛いまま 笑ってよこんな困難な世界に迷い込んだんだああ、だけどあなたは言ったんだでも生きている 笑ってよなんでこうなった?願って空を飛んだんだああ、そして辿り着けるんだどこか遠くのあなたへと 歳を取るほど傷…
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ハクメイ – 月詠み
美しい花ばかり摘む醜い心が嫌になる壊れぬように大事に抱えては歪んだ感情も意思も言葉も要らない何もかも嘘にしたい 白んだ空とパノラマこのまま全て塗り替えて 滲んだ声とさよなら叶うなら時を止めて 過去を映すパノラマ届かないものに今日も焦がれ止まったままの昨日から手の平に上に落ちて溶けて消えた 許せないものが増えるどれもが疎ましく思える積もり積もる見慣れた景色も変わりゆく 晴れを待つほど凍えてしまう求め…
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秋うらら – 月詠み
色めいて秋うらら別れが近づいて 花やいで晴れ霰(あられ)まだ僅か繋がるその葉に触れて落ちて 秋の夜長 月の下 独り誰かのことを考えた見上げた ひび割れた空 ぽつり枝の隙から頬に触れた 取るに足らないそう何気ない日々のどこかで近づいた終わりが見えて心は形を変えて いつだって何かが足りないのねえ この手を取って連れ去ってみてよ 色めいて秋うらら憶(おも)うまま募り紅色に染み凩(こがらし)が攫(さら)う…
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ナラティブ – 月詠み
産まれたことを嘆いた夜も生きる幸せを識る日もどれも一繋ぎのナラティブこれから起こることの果てに何が残る? 一つの闇も許さない、幾多に灯る街の光はされどきっとそうして影を作って人知れず何かを枯らす 歪な今も夢じゃないいつも事実は物語より奇怪な筋書きをなぞり僕を嘲け笑う また流され誰かの意を承く? 焦がれながら描いた夢も足掻きながら堕ちた現実もそれでもまだ呼吸をしている息を止めど鼓動は止まない 何もか…
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死よりうるわし – 月詠み
嗚呼 微睡みの先に映る悪夢また一つ、現実に変わるただの夢で終われば 誰だっていつか死ぬけれどどこか他人事でいたんだたかだか数千の歴史のほんの一瞬の出来事 パラペットの上に立ちながら乱れた息を整える遠いアスファルトの先に待つのはどんな自由? どう足掻いても同じ結末が待つとしてどんな明日を選ぶだろうそれすらも手のひらの上? 今日死んだっていいとさえ言える後悔ばかりだって生きている明日は何か変わるだろう…
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導火 – 月詠み
いつの間にか思い出は色褪せて掠れる命の火に焚べた夢は今もまだ光を放ついつか立てた誓いも自然と時効になるかなあの頃は水面の月へ闇雲に手を伸ばしていた 正しさの全部が正しいわけじゃない本当に願うものを失くさないように打ち壊してよ 憂いも暗い夜も迷いないその意志で届かない、足りないからこそ望んで求めて征くんだ 吹き飛ばしていこう不安も苦難もほら 全てを爆破して痛みも悔いも導火になれ風を待ってなんていられ…
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逆転劇 – 月詠み
例えばこの世の全部を滅ぼせる強大な魔法でさえ壊せない死んでも奪わせはしないこの心だけは誰にも 凪いだ景色に咲かせる有卦 未曾有 夢想 浮かぶ瀬と希望理想で現実を薙ぐようなそんな番狂わせを叶えようか 推敲の末 至る隘路で蒼天が翳る人生だってそれでも何かを信じて生きていた 例えばこの世の全部を変えられる枯れ木に花を咲かせる程の奇跡を現実にするくらい 強くなれたなら 傷ついて笑うのが強さとか守るため奪う…
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救世主 – 月詠み
教えてくれ世界の在り方をこの人生の意味と使い方を 斯様な生き方でこの運命を、君を救えるのか どれもありがちなトラジディーばら撒いて咲いた痛みに後悔して逝く人生か 問えど答えなど出ないが間違いがあるとすればそれは僕の存在だ 月よ満ちて 暗を穿て罪には罰が要るだろう?愛は爛れ 哀はやがて明日を奪うだろう 教えてくれ世界を変える術を願って祈って何か変わるものか 所詮、絵空事とわかっているけど わかっちゃ…