新橋喜代三
明治一代女 – 新橋喜代三
浮いた浮いたと 浜町河岸に
浮かれ柳の はずかしや
人目しのんで 小舟を出せば
すねた夜風が 邪魔をする
(セリフ)巳之さん堪忍して下さい
騙すつもりじゃなかったけど
どうしてもあの人と別れられない
このお梅の気持 騙したんじゃない
騙したんじゃない…
ア 巳之さん お前さん何をするの
危い!危い! 堪忍して か…
ア 巳之さん 巳之さん
あたしは大変なことをしてしまった
怨みますまい この世の事は
仕掛け花火に似た命
もえて散る間に 舞台が変わる
まして女は なおさらに
意地も人情も 浮世にゃ勝てぬ
みんなはかない 水の泡沫
泣いちゃならぬと 言いつつ泣いて
月にくずれる 影法師